亜玖夢博士の経済入門 | |
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笑ゥせぇるすまんとナニワ金融道を合わせたような感じ。
さらっと読めるブラックユーモア集である。
- われわれの脳は、得するときのうれしさよりも損したときの悔しさをはるかに大きく感じるようにつくられておるのじゃ。
- 目の前にある現金の方が、将来の返済額よりはるかに価値が高い。
- よいかね、借金が増えるにしたがって君の不幸は減速していく。借金の額がとうてい返せなくなれば、もはやそれ以上不幸にはならん。たくさん借りれば借りるほど君は不幸ではなくなっていく。百億円の借金をしていれば、どうせ生きているあいだには返せんのだから、自分が借金をしていることすら忘れてしまうだろう。
カーネマンの行動経済学。なかなか興味深い。
社会学者ロバート・チャルディーニは、他人に影響力を与えるさまざまな心理的手法を研究した。"権威""社会的証明""希少性""コミットメントと一貫性"などはすべて彼の用語だ。そのなかでチャルディーニが、他人を操るもっとも強力な方法として紹介したのが"返報性"である。
- お互いに相手を言及する相互参照のジレンマは、システムの外部性を導入することによって解決できる。それが君のいう"事実"で、それは議論の外からやってきて、言い争いに決着をつける。逆にいえば、システムに外部がなければこの議論は堂々巡りを続けるだけで、永遠に結論には辿りつけん。
- 自己言及は、このように構造的にパラドクスを生み出す。そしてこのパラドクスを、システムの内部で解決することはできん。
ゲーデルの不完全性定理まで触れている。何かを学ぶときのとっかかりとして良さそうだ。
という感じで、普通に楽しめるのだが、なんとなく自分と重ねてしまった。
- あなたがそう言ったんじゃないか
自分は、わりとこういう思考をしがちだ。悪気はないんだけど。
自分で想像した相手の考えよりも、過去に相手が言っていたことを重視する。
自分自身が、あんまり思いつきでいい加減なことを言わない/言えないから、
他の人も思いつきでいい加減なことを言わない/言えないだろう
と勝手に仮定してしまう。これは非常に大きな間違いなんだけど。
いい加減なことを言って、それが実現してしまうのが怖いからまず言わない。
言った言葉の責任を取らなくちゃいけないと感じるから、まず言えない。
あんまり冗談とか通じない。ソリューションとしてものごとを考えてしまう。
「やってやれないことはない」と思って具体的なアクションに落とし込む。
だから言ってることとやってることが違う人を見ると、非常に違和感ある。
個人的に自分がそういうスタイルであることは、明示しておけば特に問題ない。
でも他の人が同様だと仮定するのは、絶対にやってはいけないことだと思う。
誰もがそんなにガチガチに考えてる訳じゃないから。人それぞれバラバラだから。
勝手な前提を置いて、無意識に他人を突き放したり、追い詰めたりしていたと
改めて考えると、自分の器の小ささを痛感させられる。そんなふうに感じた今日この頃。