デザインサイエンスと宇宙エコロジー

バックミンスター・フラーの本の訳などで知られる梶川泰司氏のブログを
読んでいて梶川氏のトークイベントの存在を知り、先日行ってきた。
DO MORE WITH LESS 40 YEARS OF THE NORTH FACE
http://www.goldwin.co.jp/tnf/40th/
全然何も知らずに行ったのだが、The North Faceのイベントだった模様。
梶川氏の作ったこんなドームの中で講演を聴いてきた。
by caribb
ちなみに梶川氏やバックミンスター・フラーについては、自分がこれまで
見ていた視点とは全然違った視点から物事を考える人たちだと思って
以前から非常に興味を持っていて、テンセグリティタワーを作ったこともある。
http://d.hatena.ne.jp/pho/20080524/p1
で、なんでノースフェースなのかと思ったら、軽くて丈夫なテントを
作るために30年以上も前からフラーのドームと関わりがあるらしい。
テント/寝袋>テントDome 8|ザ・ノースフェース[THE NORTH FACE]公式通販サイト
http://goldwinwebstore.jp/shop/ProductDetail.aspx?sku=NV02701_SG&CD=W0800138&WKCD=W0800107-W0800137
前置きはこの辺にしておいて、そろそろ講演の中身に入ろう。
正直言ってあまり内容を理解できてないけど、一応書くことにする。

ジオデシックドームをテントに応用する

  • 文節化、articulation (つなぎ)
  • 分割、frequency(振動)

この2つが重要らしい。テントでも寝袋でも節があって、
分割するという点で同じで、内部と外部が接するcold pointに
障壁を設けて、対流を打ち消すと快適なものができるとのこと。
そして、ドームに重要なのはいかに球を対称的に分割するか。
テンション材の間にゴムが入っている→なくすことがない
素材は、東レの耐震構造(トレカ)
http://www.torayca.com/index.html
元に戻してもフラットなのが「硬い」
テンセグリティ→作るのに時間がかかる、瞬時に作れない
極地用のテントとして(素早く作れるものに)作り替える

既製品を使う

ホームセンターで買う
日曜大工の道具で全て加工できる
組み合わせは無数にある
もっと最適化された組み合わせはある
頂点と頂点を弦でつなぐ
ダイマクションハウスから20年かけて(中心の)ポールをなくした
いかに軽量化できるかが重要

たためるtensegurity

どんなジオデシックドームもたためる
11mのドームをたたんで、税関で広げた(拍手喝采)
ホームセンターで入手可能な道具でシェルターをつくる
非常に精密で誤差2mm
今回コストがかかっていて、3000万
カーボンナノチューブであれば、10倍の強度にできる。
ということは1/10の重量にできるので、3kgにできる。

破壊実験

作製に7時間かかる。4回切っても大丈夫。
「強い」という固定観念
柔軟な強度→柔らかいけど鉄より硬い
C_60でダイヤモンドに傷がつく
スマッシュしたテニスボールみたいなもの

ドームの寿命

ドームは紫外線でボロボロ
30年もつ透明度95%のフィルム
デュポンのテフゼルを使う

その他

太陽系がtensegrity状態
重力が究極のtension材
固定するのは進化にブレーキをかけること
移動→高いテクノロジー(船乗り、遊牧民)
固定→退化
5年に1度住みかを変える

感想

ジャイロの実験やいろいろなテンセグリティ構造を使った
なかなか斬新な講演で非常に楽しむことができた。
近頃のテントはずいぶんと進化しているんだな。
極地のテントのニーズに合わせて、軽量化、
紫外線対策、折りたたみ可能化、低価格化してるのが
なかなか興味深かった。応用範囲はなかなか広そうだ。
それと、何をもって「強い」というのかが興味深い。
一旦潰れながらも元の形に戻るというのも強い。
強い形とは、しぶとい形でもあり、その1つなんだろう。
そして移動について。落ち着き、安住してしまうというのは
やはり危険なんだろう。ある程度の緊張感を維持しないとな。
落ち着かないとできないことがあるのも事実だけど、
落ち着いた場がぬるま湯となり、向上心を維持できないならば
新たな環境を探し求めるというのも一つの手か。まだ模索中。

そう、だからイニシアティブをとるのはプランナーであり、建築家であり、技術者なのだ。仕事に取りかかって欲しい。とりわけ共同作業をして、互いに抑制し合ったり、他人の犠牲で得をしようなどとはしないで欲しい。そんな偏った成功は、ますます先の短いものになるだろう。

宇宙船地球号操縦マニュアル - technophobia

依然として最先端にありそうなフラーの思想にもっと触れたいと思う。