大分七日目・いいちこ日田蒸留所と小鹿田の里

行こうと思って調べてみるまで全然知らなかったが、大分には見どころが多い。おそらくこれは他の地方都市にも当てはまるのだろう。まだ見ぬ楽しそうな場所がたくさんあるというのがいいことだ。

この日は大分から電車で日田まで行く予定だったのだが、朝ホテルでのんびりしていたらなんか急ぐのも面倒だしという気分になり、予定していた電車を乗り過ごした。電車は1日3本しかないので、急遽高速バスの乗り場と時刻表を調べることにした。大分から福岡に行く高速バスの通り道に日田があるので、それほど待たずにバスに乗れた。

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高速からの眺めも良い。ただ問題は、日田の市内ではなく高速で降ろされること。高速のそばにあるバス停からすぐに市内に行ければいいのだが、案の定あまり本数がない。携帯でタクシーを呼ぼうかと思ったが、データ通信のみのSIMカードだった。skype等でかけられなくもないが、google mapを見ていたら高速のすぐそばにタクシーの営業所があったのでそこまで歩いて行った。このとき既にワイン、焼酎、日本酒、味噌、米麹などなど大量にバックパックに入っていたのでかなり重かった。

タクシーで駅前のホテルまで連れて行ってもらって、チェックインを済ませて荷物から解放された。昼ごはんを食べようかと思ったがあまり時間がなかったので、駅前からタクシーでいいちこ日田蒸留所に向かった。

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着いてすぐに食事ができるところはないか聞いたところ、焼酎の試飲のみだった。なんで焼酎の蒸留所に小学生がたくさんいるんだろうと思ったら、敷地が広くピクニックに丁度良い場所だった。

特に案内とかはなくて、好きな場所を自分のペースでウロウロできてよかった。

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ガラス張りになっていて、大きな設備がよく見えるのがいい。

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麦焼酎を作る過程を詳しく解説してくれるのは非常にありがたい。焼酎とウィスキーは何が違うのかとか全然知らなかったし。

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自分でお酒を作り始めてから、発酵プロセスに対する親近感が全然違う。

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樽の様子も見学することができる。樽の作り方も紹介していた。

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そして試飲コーナー。正直これまで焼酎は苦手だった。日本酒と違って全然美味しいと思った経験がない。下町のナポレオンもなんかいまいち自分の口には合わなかった。でも物によっては口当たりの良いのもあるし、風味がよく美味しく飲めるのもあるとここで知った。あと、焼酎というものが数種類の原酒をブレンドして作られたものだと知り、別にストレートで飲む必要はないんだとわかったことも大きい。

ちなみにこの蒸留所限定で原酒も小さなボトルで販売している。通常の焼酎が20度から25度のところ、原酒は40度近くなのでガブガブ飲むとそれはもう酔っ払う。でも、今回いろいろ試飲して焼酎の美味しさがわかって原酒2本と日田全麹1本買った。

タクシーでホテルに戻って荷物を置き、昼ごはんを食べてから今度はバスで小鹿田の里へ向かった。バスの本数が少ないので時刻は事前に確認しておいた。棚田に行くときのように、バスはどんどん田舎に向かって行く。

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ここも調べてみるまで知らなかったのだが、かなりユニークな手法を伝統的に受け継いでいるスタイルの焼き物エリアらしい。

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 水車で何をしているんだろうと思ったら、土を粉砕しているそうだ。

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とてものどかな景色だった。

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ここで一子相伝で技術を引き継いで、特に作り手の名前も出さずに細々とやっているというのが興味深い。

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もちろんここで小鹿田焼きを買うことができる。商売っ気はないけれど、お客さんには慣れた感じだ。

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お値段は正直かなり手頃だと思う。クオリティにはばらつきがあるけれども、きちんと手にとって気に入ったものを買えるので問題ないだろう。蓋付きの器などいろいろ買ってしまった。

帰りのバスの乗客はほとんどいなかったが、小学生みたいなのが4人途中で乗って降りた。焼酎試飲の影響で熟睡していたところ、4人のうちの1人に凝視されるという事案が発生したように思う。

大分六日目・大観峰と蕎麦街道(熊本)

この日は、大分在住の方に車で案内してもらった。実際のところは大分ではなく熊本県にまで足を伸ばしていたわけだけど。

臼杵で拾ってもらって、臼杵城跡を少し見て、それから阿蘇山を見渡せる大観峰へ。

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全体を見渡すにはちょっと離れた方がいいんだなということがよくわかる。阿蘇カルデラがよく見えた。カルデラの中に集落があり、畑があり、駅もあるというのはとても新鮮。

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旅行に行かない人から見れば年に何度も狂ったように旅行に行っているので、これまでにいろんな景色を見てきたわけだけど、ここの景色はそれらに負けず劣らず素晴らしかった。

そういえばここにも中国人観光客の団体バスが来ていたり、メニューが数カ国語表記されていたりして、もうそういう段階に入ってきたかという気分になった。メジャーどころでは満足できず、マニアックなところに入ってくる段階に。

その後、蕎麦街道なる蕎麦屋が乱立するエリアにやってきた。

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なんかもう雰囲気が既にずるいし、こんなとこ水がまずいわけないし。

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おろし蕎麦が美味しかったけど、食べ物の写真は別の機会に。この後、中津江村の金山に向かった。以前サッカーのカメルーン代表を受け入れて名を知られた中津江村であるが、日田市に吸収されている。大分にはそんな感じで自治体の吸収合併が少なくない。

そんな中津江村に鯛生金山なるものがあるとは全然知らなかった。

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人が全然いないのに、見学用にとてもよくメンテナンスされている。

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かつてこんなに広く深く蟻の巣みたいに掘り進められていた金山があったなんて全然知らなかった。

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実際に使われていた機械もいろいろあってとても見応えがある。不便だけど。

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ここでは、10年以上前に終わったことではなく現在のことなのかもしれない。最後は一部界隈で有名な赤坂。何食べても何飲んでも美味しかった。

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そんなわけで、かなり広いエリアをいろいろと連れて行ってもらい、非常に満足。ありがとうございました。

大分五日目・湯布院と臼杵磨崖仏

湯布院で気になる美術館があったのでまずはそこへ向かうことにした。途中でけっこうもくもくと湯気が出ていて、別府同様ここもかなり桁違いに温泉が湧いているんだなと思った。

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 駅から離れて坂を上がっていくと、温泉と美術館のたくさんあるエリアにたどり着いた。

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今回行ったのは由布院アルテジオ(http://www.artegio.com/)。音楽と美術を一緒に楽しむ的なコンセプトで期待していた。

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正直がっかり。前菜で終わって、メインはどこと言いたくなる展示。ライブラリーもカフェも素晴らしかったけど、美術館が期待してたのと違った。別に楽器や楽譜をモチーフにした絵が見たいんじゃない。ワインと料理みたいに絵と音楽のマリアージュを勝手に期待していたのが悪かったのかな。

駅に戻ったら、ゆふいんの森が来てた。今回は予約取れなかったから乗ってない。

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普通列車で大分に行き、大分から臼杵まで特急にちりんに乗る。

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地図で見るより大分は広くて、特急でも結構時間がかかる。臼杵に着いたら、宿が駅からすぐ近くだったので、荷物を置かせてもらった。そして目指すは味噌屋。

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400年続く味噌屋すごい。サイトをみればわかるけど、商品開発も熱心でなかなか斬新なものを作って販売している。味噌だけじゃなくて、米麹やだしも買った。ジャポネソースも買った。その結果荷物が異様に重くなったがまだ買い物の旅は続く。酒造や酒屋にも行ったけどそれは後でまとめて書こう。宿に荷物をまた置きに行って、駅前からタクシーで臼杵の磨崖仏に向かった。

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こういうのを見ると、インドのエローラ・アジャンター石窟寺院と比較してしまうわけだけど、これはこれでいいなあと思えるものだった。結構表情が一つ一つ違って面白い。それから、規模は小さいながらいわゆる日本の山の中にあるので、もうそれだけで山に守られた独特な雰囲気を醸し出していて、それがとても良い。

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個人的に熊野磨崖仏よりも臼杵磨崖仏の方が好きだな。石と木が織りなす世界観というものを感じられて良かった。

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やっぱり自分はこういう景色を見たかったんだなと思った。当たり前のようにこういう景色に出会えるから、日本の地方都市を旅行するのは楽しい。

バスで臼杵に戻ろうとしたけれど、バスが何やら大分駅まで行ってしまって、そこから電車で臼杵まで戻る羽目になった。現在地よくわからないし、携帯の電池なくなりそうだし、暗いところはあまり好きじゃないってことで、海外旅行のような不安な気分を味わいながら、臼杵の宿に戻った。

大分四日目・香りの博物館と内成棚田

鉄輪温泉近辺を散歩するところからこの日はスタート。

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結局むし湯はやらなかったけど、こんな感じの趣深い建物が多い。それから驚いたのは、温泉が出すぎて至る所で湯気が立ち上っていたことである。別府と湯布院はそういう意味で別格だと思った。

たまたま路線バスのタイミングが良かったので、バスで別府駅に行ってコインロッカーに荷物を預けた。そして電車で別府大学駅に移動し、その後徒歩でたどり着いたのは大分香りの博物館。行くまで知らなかったが別府大学に隣接している。

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そういえば勇午という漫画でやたらと鼻がいいキャラクターが出てくるのだが、この博物館やその前身の博物館の存在が影響を与えているのかもしれない、なんてことを考えた。いろいろなものがインターネットでやりとりできる時代にあって、まだインターネットで送れないものという意味で、香りに着目してみるのは面白いかもしれない。

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所狭しと香水の瓶が並ぶ。以前銀座の資生堂香水関連の展示を見に行った時のことを思い出した。中身の見た目で分かりにくいので、瓶のデザインはとても重要なんだと。

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結構細かいことまでいろいろと解説していて、非常に力の入った博物館である。

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抽出するための道具というのは、他の分野のものとよく似ていて、これだけ見ても何の道具かよくわからない。

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これだけ数があると圧巻である。

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そんなわけで思っていた以上に充実した博物館だった。その後時間の制約があったので、タクシーで別府駅に向かい、路線バスに乗る。目指すは内成棚田。

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路線バスなんだけどサイズはマイクロバス。1日3本しかなくて、観光向けに残しておいたと思われる路線。実際に観光で行く物好きがどれだけいるかはよくわからない。とにかく、極度に高齢化したバス路線だった。

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博物館で乗ったタクシーの運転手に何もない所だよと言われたが、そもそもこういうものを見に来たわけで、そんな感覚ってのはわからないんだろうなと思った。

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少ないながらも少しは家がある。

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なんてことない景色だけど、今の日常にこういう景色はないから価値がある。原理はよくわからないけど、こういう田舎に来ると何かが充電された気分になる。

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往復2時間くらいバスに乗って帰ってくるだけなんだけど、非常に楽しめた。自分は楽しかったけど、わりと人を選ぶエンターテイメントだということは否定しない。

別府に戻ってきて、ロッカーから荷物を回収して、バスで湯布院へ。こっちはこっちで景色が良かった。

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山がある景色ってのはいいものだ。到着したバスターミナルは由布院駅に隣接していて、宿もそこから近く、わりとすんなり歩いて目的地に到着。

大分三日目・耶馬溪と中津

この日は朝からバスで耶馬溪へ。目的地はメイプル耶馬サイクリングロード。久々に自転車で走ろう計画。

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耶馬溪には3つのサイクリングターミナルがあって、真ん中の耶馬溪サイクリングターミナルが一番自転車の台数が多く便利そうなのでとりあえずそこに行ってみた。

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広いわりには全然人がいない。でも自転車はよく整備されていて非常に乗りやすかった。ここに限った話ではなく、大分は全般的に人が少なかったな。

結局ここから青の洞門に行って戻ってくるという片道10km往復20kmのゆるめのサイクリングということにした。反対側に進んでも片道10km往復20kmのコースがあるので合わせれば40kmになるけど、今回はそこまで頑張らなかった。ちなみに以前走ったしまなみ海道は片道70kmだそうだ。

行きは写真を撮るために止まったりはしなかったので、大体40分くらいで10km走破。耶馬溪橋、またの名をオランダ橋というそうだ。

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青の洞門は和尚さんがせっせと掘り抜いたトンネルで、日本最古の有料道路らしい。

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川に沿って走るのは気持ちよい。

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これと言って何か目玉となるものがあるわけではないけれど、のんびりまったり自転車で走るにはとてもよい場所だった。

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道幅は広くないけど、特に混雑するわけではないのでちょうど良いくらい。天気も良くて非常に快適だった。海を見ながら島から島へと走るしまなみ海道もいいけれど、山や川を見ながら走るメイプル耶馬サイクリングロードも良い。

昼食後、バスで中津に戻って市内観光。中津といえば福沢諭吉。駅前に銅像が建っていて、旧居も記念館も中津にある。

小さい頃に家に福沢諭吉の伝記の漫画があったので、数え切れないくらい読んでいて割と細かいところまで覚えている。そのため、上諭条例を見たときはなかなか感慨深かった。

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 咸臨丸の模型とか緒方洪庵適塾関連の資料とか非常に楽しめた。個人的に慶應義塾には大学受験で行ったくらいの接点しかないのだが、この卒業証書はなかなか興味深い。

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各科目の指導者が一人一人責任を持ってサインをしているんだな。

旧宅の方はこれといって何も感じなかった。本人が晩年に一生懸命思い出しながら復元させたっていう気持ちはわからなくもない。

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次に向かったのは中津城。行くまで全然知らなかったが、中津城を築いたのは黒田官兵衛で、大河ドラマ関連で黒田官兵衛を強く推していた。

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なんだこのおもちゃみたいな城はと正直思ってしまった。天守閣があるのはわかるけど、全体的に取ってつけた感が否定できない。無意識のうちに結構期待していたのかもしれない。

そもそも黒田官兵衛って兵庫じゃなかったっけと思ったが、やはりそうで、この辺りを制圧して城を築いたそうだ。でも天守閣は奥平家の資料館となっている。

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やけに徳川家康関連のものがあると思ったら、家康の長女の亀姫の嫁ぎ先が奥平家だった。長篠の戦いで活躍したとかで、それ関連の資料もある。ちなみに城の横に奥平神社というのがあり、日本ではわりと簡単に神様になるのだなという思いを新たにした。

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天守閣からの眺めは良い。川の向こうに海が見えて、海上交通の要所という意味がわかる。あと中津はやたらと唐揚げを推してきたが、食べ物の話は最後に書こう。ホテルに預けていた荷物を取ってきて、ソニックで別府に向かった。

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九州は絵になる列車が多い。別府駅から鉄輪温泉までタクシーで行って泊まった。

大分二日目・国東半島と安心院葡萄酒工房

この日泊まっていたのは富貴寺の隣の蕗の薹という旅館である。タクシーの運転手によれば富貴寺の住職が庭で蕎麦とか野菜とか育てながらやっている旅館らしい。朝食の後に早速富貴寺に行った。

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階段を上がっていくと門がある。ちなみに朝の富貴寺は寒かった。今回の旅行はずっと晴天で、半袖で大丈夫なくらい暖かかった。この日の朝の富貴寺以外は。

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門の脇にある受付で拝観料を払ってさらに進むと平安建築の大堂が見えてくる。

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正面の扉は閉まったままだが横から中に入って本尊を見ることができる。薄暗くてあまりよくわからなかったけど。普段山のないエリアに住んでいると、こういう山の中にある建造物というだけでなんかいい雰囲気だなと思ってしまうのだった。

その後チェックアウトして、旅館の人に田染荘という場所に連れてきてもらった。世界農業遺産だとか。

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まだ稲刈りが終わってなくてよかった。こういう景色を見るたびに、京都の上桂に住んでいた頃のことを思い出す。家の隣に水田があって、西山の稜線を見ながら通学していた頃の記憶が最も日本らしいものとして自分の中に残っているようだ。

少し写真を撮った後、真木大堂まで車で送ってもらった。一つ一つけっこう離れているので、こうして送ってもらえるのは非常に助かった。

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仁王像すごいなと思いつつ、裏山に登って降りてきて、ここの目玉の九体の仏像が見当たらない、変だなと思ったら、隣の場違いに新しい建物に保管されていた。管理室か何かだと思ってほとんど素通りしつつあったので、非常に危なかった。でもやっぱり器というのは大事で、切り離してしまうとなんだかなあと正直思ってしまった。

ここから4km程度、10kg以上ある荷物を背負って歩く。特に理由はなく、なんとなく歩けるかなと思っただけのこと。普段運動しないのにこんなところで無理しても仕方ないが、とにかく歩いた。

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後半の足場はひどかったけど、こういう未知の世界に突き進んでいる感は非常に心地よい。

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大きいと思ったけど、これだけなの?とも正直思った。インドのエローラとかアジャンターの石窟寺院と比べるとややあっけない。やはりこれも日本的な山の中にあることに価値があるのかも。

タクシーを呼んでもらって、どぶろく祭りの会場である白鬚田原神社へ向かった。

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かなり不便なところにあるけど、神社の周りに色々と出店が出ていて、どこにこんなに人が居たんだと感じるほど賑わっていた。飲酒運転防止のため、ドライバーはその場で飲まずに持ち帰ってくれと念押ししていた。ワイナリーにしても酒造にしても非常に不便なところにあって、車で来る人が多く、飲酒運転がダメだったりして、なんか矛盾していると思えてならない。自分は運転しないから関係ないけど。

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人は多かったけど、ほとんど並ぶことなくどぶろくをゲット。自分で作るときはザルで酒と酒粕を分けるんだけど、これは全然分けてなくてドロドロの米だったものが付いてきて飲みにくい。伝統的な作り方だと酒と酒粕を分けないそうだ。体験として面白かったけど、味に感動があったかといえば別にそうでもないかなというのが正直な感想。

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こういう伝統が1300年以上も続いているのは非常に興味深い。酒続きだが、次はタクシーで安心院のワイナリーに向かった。これで「あじむ」と読ませるのだから、非常に難易度が高い。

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三和酒類がやっているワイナリーで、葡萄畑や醸造所も見学可能となっている。一週間ずれていれば新酒祭をやっていたのだが、残念ながら終わったばかりだった。そんなわけで葡萄はもうない。

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いろいろな国のワイナリーを見てきたけど、ここの説明動画は非常にわかりやすかった。スパークリングワインとか一つ一つ丁寧に説明していてとても良い。割と自由に動き回れるのもいい。そんなところかな。

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一箇所に一通り揃っているのはなかなかいいものだ。もちろん試飲コーナーがあって、いろいろと試すことができるんだけど、ハンガリーで飲んだアレの方がなんてことを考えてしまってよろしくない。そんな中、これ美味しいなと思ったのは、新酒。

これまでに新酒を飲んだことがないので比較はできないけれども、とても気持ちよく飲めるお酒だと思ったので1本買ってきた。

この後タクシーで安心院の中心部まで行き、その後バスで中津まで行って中津に泊まった。ルートインホテルは安くて便利なところにあって、設備もサービスもまあまあでなかなか良い。人工ラジウム温泉だけど、普段シャワーだけなので大浴場というだけでリラックスできる。そんな二日目だった。

大分初日・福岡空港から宇佐神宮

福岡空港に着いたのは朝8時半頃だった。入国するときに、入国管理官の方がパスポートのスタンプを見ながら久しぶりの帰国ですねと言った。5月は自動化ゲートを使ったので、2月に千歳でスタンプを押してもらって以来となる。免税手続きには入国の日付が必要だとかで、今回は前時代的ながらスタンプを押してもらった。

空港でsimカードがあるか探したら、7日間3000円程度であった。

WiFi経由でactivateしないといけないのは面倒だけど、メール認証があるだけでsms認証もなく便利だ。空港で買えるというのが煩わしくなくていい。空港のWiFiは遅いので、福岡市内やホテルのWiFiでactivateしてくださいとのことで、空港ではsimカードを差し込むところまでやった。

国際線ターミナルから国内線ターミナルへ移動して、その後地下鉄で博多駅に行くんだと思っていたが、国際線ターミナルから博多バスターミナルに直接行くバスが出ていて便利だった。

博多バスターミナルからエスカレーターを降りて外に出ればそこは博多駅東急ハンズが駅直結なのかとか、KITTEって東京だけじゃないんだとか、発見があった。宇佐までの切符を買ったが、待ち時間がけっこうあり、地下街をうろうろ。カフェに入ろうと思ったが混んでいたのでやめた。道端でWiFiの電波を拾ってせっせとsimカードをactivateした。そして駅のホームで待っていると白のソニックが来た。

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中身は新幹線よりも快適なくらい非常に力が入っている。

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小倉でのスイッチバックにともなって、ガタンと座席を回転させた。そういえば座席ってこうやって回転させるんだったなと思い出す。

 そして宇佐神宮のある宇佐に着いた。駅前にはあまり入る気が起きない店2軒とタクシーが数台止まっているだけで何もない。駅にコインロッカーがあったので、とりあえず身軽になることができた。宇佐神宮まで4kmとあり、バスも来ないようなので歩くことにした。

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他に歩いている人が全然いなかった。すれ違ったのはランニングをしている高校生くらいのもの。のどかな景色が良かったが、少々長くて退屈だった。途中で宇佐市和気という和気清麻呂にちなんだ地名があり、称徳天皇道鏡の時代に和気清麻呂がやってきた船着場の名残として残っている。そこに神社もあった。

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どこに行っても蜘蛛の巣が多くて、蜘蛛が大きくて、歩く人がいないことを実感した。あと行くまで知らなかったが神輿発祥の地もこの宇佐らしい。USA cityってのは間違ってないけど、あえて強調しているんだろうな。

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とり天食べたり、ソフトクリーム食べたりして、ようやく着いた。

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井沢元彦の著作で高校生の頃から気になっていた神社なので、ようやく来ることができてよかった。面白いと思ったのは、皇族下乗の看板。その手前に単に下乗の看板もある。

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 皇族はここまで馬で来てもよろしいと明確にしていて、なかなか新鮮だ。

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こうやって少しずつ山に入って行って、建物が見えてくるという体験がすごく好きなので、久々に体験できてよかった。今住んでいるところに神社はないので、日本に行くときに重視しているポイントの一つである。

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噂に聞いていた四拍手の拝礼。全国で出雲大社とここだけで、起源は不詳。でも出雲大社と違って神在月とは言わないみたい。

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今回感じたことだが、神社のご神体というのは、この建物でもその中身でもなくて、こういう長い年月を経た神木や取り巻く山全体ではないか。神社の建物というシンボルがあるから、きちんと守られてきた神木や山がある。借景ではないけれども、神社そのものではなくその背景をひっくるめたものが貴重という気がした。多分切り離して博物館に持って行っても、価値が半減してしまう気がする。

八幡総本宮 宇佐神宮

宝物館もなかなか見応えがあった。あと駅前とは違って参道はそこそこ栄えていてよかった。唐揚げとみかんと食べつつ、バスに乗って駅に戻り、荷物を回収してタクシーに乗り込み、宿のある富貴寺へと行った。まさか25分タクシー乗っただけで4000円かかるとは思わなかった。