バリクパパン二日目

ここまでピンポイントで目的を持って旅行したのは初めてである。特にバリクパパンに用事はないし、皆既日蝕が見られればどこでもよかった。たったの2分間のために3日会社を休んで来たわけである。なぜ皆既日蝕に興味を持ったかは以前書いた通りだ。

皆既日蝕の360度動画を撮るべく、せっせとXiaomi yiを6台リグに固定しようとしたのだが、ドライバーを忘れるという痛恨のミス。ホテルのフロントでも周りの店でもドライバーは見つからず、リグを歪ませて無理やりねじ込んだり、手で頑張ってネジを回したりしてた。あまり無理やりやってリグを壊すのも嫌だが、早くやらないと日蝕タイムがやってきてしまう。ホテルのロビーで会った方にアーミーナイフを借りて、日蝕開始の30分前くらいになんとかカメラを6台リグに固定できた。

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waiting for solar eclipse #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 朝8時頃、ホテルのプライベートビーチはなかなか賑わっていた。半分くらい外国人で半分くらい現地の人のように感じた。三脚に本格的なカメラやフィルタをセットしている人が多く、日蝕ハンターの世界を垣間見た気がした。ここから船に乗ったりすると、もう少しだけ長く日蝕を体験できるらしく、もっと本格的な人はそちらに行くのかもしれない。

自分としては、フィルタを使って太陽を見て、カメラで周りの人々の様子を撮影して、皆既日蝕という時間を切り出すことができれば満足なので、他の人とはモチベーションが少々違う。太陽そのものよりも、そのときの周りの様子を記録しておきたかった。

Before #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
After #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

 朝10時なのに暗くなるのはとても興味深かった。フィルタをかざしてみると完全に太陽が月に覆われているけれども、肉眼で見るとコロナの光が強いのかそこまで真っ暗にはならなかった。まあでもこの2分間は肉眼で見れるくらい光が弱くなっていた。

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そんな様子を360度動画に収めた。周りの歓声が聞こえるととても面白い。

日蝕自体は欠け始めから終わりまで計4時間くらいあって、そのハイライトの皆既日蝕は約2分間。ハイライトの1分前からハイライト2分間の計3分間の動画である。デフォルトの視点は太陽を向いているが、ぐるっと回してみれば他の人が見えるはず。ラストでまた歓声が上がるのは、この動画では分かりにくいがダイヤモンドリングがはっきり見えたから。

そんなわけで、幸いとても天気が良く、期待以上にちゃんと映像が撮影できて個人的に結構満足している。なんとか4Kのクオリティでできたので、Oculus RiftやGear VRで見てみたい。

変なカメラを持っているとどうやら目立つらしく、終わってからいろんな人に声をかけられた。2種類の360度カメラを持っていると、360度カメラマニアなんですかと言われたり、もしかしてそうなのかもと思ったり。撮影した映像はYoutubeにアップロードしますよと言ったり、来年はアメリカですねって話したり、旅先で他の旅行者と話すのは結構久しぶりかもしれない。ワンパターンなやり取りに飽きて敬遠してたけど、こういう風に共通の話があったり、たまになら良いのかもしれない。

撮影が済んでしまえば特にやることもないので、シーフード食べたり

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カフェでケーキ食べたり

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モスクに行ったり

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高い建物に上がったり

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ビール飲んだりしてた。

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バリクパパンはわざわざ来るような場所ではないが、来たら来たでなかなか快適に過ごせる場所だった。国際空港もあるので、ボルネオジャングルの拠点とするには丁度いい。ジャングルトレイルをしたくなったときにはここに来ようと思った。そんな日が来るのかどうかは知らないけど。

翌日は朝に空港に行ってシンガポール戻って、会社に直行して働いたので特に書くことはない。強いて言えばバリクパパンの空港は新しく、空港と市内の間のタクシーがスムーズなので、全体的に快適な印象だった。

360度動画への誘い

全天球動画や4πステラジアン動画という表現の方が正しいが、なんとなく定着している360度動画という表現を使うことにしよう。RicohのTheta Sというカメラを昨年末に買って以来、せっせとそんな動画を撮っており、今や自分の関心事において大きな割合を占めている。

RicohのTheta自体はけっこう前から知っていたが、飲み会でみんなの写真を撮っても別に面白くないなあと思って、特に興味を持っていなかった。しかし、昨年あたりからとりわけ喧しく目立つようになったヘッドマウントディスプレイにより大きく話が変わってきた。このカメラで撮った旅先の写真や動画をヘッドマウントディスプレイで見て旅行を追体験したらすごく楽しそう。撮影する装置と鑑賞する装置を組み合わせると、新しい世界が見えてくるのではないか。そんな思いを胸にバーチャルリアリティの世界に一歩足を踏み出したのだった。

とりあえずOculus Riftを買おう。それが届くまでにいろんな360度動画を撮ろう。そんなことを考えて、インドネシアの遺跡にTheta Sを持って行ったり、シンガポールでも色々と撮影してみた。それはそれで楽しく、なかなか面白い映像も撮れたが、一つ不満があった。映像がぼんやりとしているのである。例としてTheta Sの動画を一つ貼っておこう。再生する際には、下部のSettingで最高画質の1080sにすると良い。


マウスのドラッグでグリグリ動かせたり、スマートフォンタブレット環境では端末の角度と連動して見ている範囲が変わるのが360度動画の特徴である。一応HDの画質ではあるが、通常のHDよりは粗く見えるはずだ。それは360度全体でHDなので、狭い範囲を見ればその三分の一程度の画質しかないかもしれない。

もっといい画質で撮りたいなと思うと、GoProを6台くっつけて後から合成というのがよくあるやり方だ。しかし軽く60万円近く消えてしまう手段を選べる気にはなれない。もうちょっと安くてもうちょっといい画質でどうにかならないかと思ったとき、Xiaomi yiを6台使うという手があるじゃないかと思い至った。もちろん既に先人はいるのだが、数は少ない。

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Thingiverseという3Dプリント用データ共有サイトに掲載されていたデータをシンガポール3Dプリンターの業者に送って印刷してもらい、そこで作られたリグを用いて6台のカメラをつなげている。ネジは近所の店で買ったのを使っている。

GoProと違って6台同時に起動させるようなリモコンなんてないからマニュアル操作だし、撮影した後は家でせっせとAutopano video proを使って6台のカメラの映像のつなぎ合わせ作業である。Theta Sと比べてはっきり言って10倍以上手間がかかっている。でもこれがまたなかなかくっきりとした映像を撮れるのだ。Settingsで最高画質を選ぶと2160sとなる。HDカメラを6台使っていいとこ取りをしているだけあって、個人的に満足のいく水準に達している。


そろそろOculus Rift CV1も発送されるとのことなので、期待以上にますます面白くなってきそうだ。

RICOH デジタルカメラ RICOH THETA S 360°全天球カメラ 910720

RICOH デジタルカメラ RICOH THETA S 360°全天球カメラ 910720

 

 

バリクパパン初日

インドネシアカリマンタン島にあるバリクパパンに皆既日食を見るために行くことにした。カリマンタン島は日本の本州よりも大きな島で、一つの島に三つの国が入っていることで知られている。ちなみにボルネオは英語読みで、カリマンタンインドネシア語読みである。

これまでにこの島には三回来ている。ブルネイと、キナバル山のあるマレーシア・サバ州、ムル洞窟やクチンのあるマレーシア・サラワク州。一番石油が採れる所がブルネイで、他のめぼしいものはマレーシアで、残り何もないのがインドネシアみたいな説明を誰かに受けたか、なんとなくそんな印象を抱いていた。今回やってきたバリクパパンは、この島のインドネシア側で唯一国際空港がある都市であり、インドネシア側で最も栄えている場所である。石油精製が行われており、その昔旧日本軍がそれを手に入れようとやってきたんだそうな。

シンガポールからはシルクエアの直行便が出ているのだが、ライオンエアだと半額よりちょっと高いくらいで乗れてしまうのでジャカルタ経由のライオンエアにした。マナドの空港での遅れを経験した後だったらライオンエアを選ばなかったかもしれない。

ライオンエアのいいところは、シンガポールチャンギ空港でターミナル3を使っているところだ。ターミナル3を使う航空会社は少なく、チェックインカウンターはほとんど混雑しておらず、とても快適だ。わりとすんなりジャカルタ到着。トランジットの道すがらにあるカウンターが外国人用で、突き当たりのカウンターはインドネシア人用だと学んだ。やはりビザ代がかからないのはありがたい。

シンガポールジャカルタの時差は1時間。ジャカルタとバリクパパンの時差も1時間。シンガポールとバリクパパンに時差はない。なんか面倒だったのでジャカルタで時計を調整せずにそのままバリクパパンまで行った。

機内で読んだロンリープラネット情報によると、バリクパパンはボルネオジャングルの入り口という位置付けのようだ。ボルネオは世界有数の生態系を誇るジャングルということで知られているようで、そういう旅行をしてみるのも面白そうと思った。

着いてみるとバリクパパン空港は非常に新しく、チャンギ並に綺麗でインドネシアとは思えない水準に達していた。しかも荷物のターンテーブルの所には数人のポーターが控えていて石油パワーを思い知る。タクシーもチケット制で料金が固定なので安心して乗れる。タクシー自体もボロボロのを想定していたが、シンガポールのタクシーより中が広くて新しいくらいだ。

今回はこのルグランデュアに2泊した。 

高評価で割と安く、しかもプライベートビーチがあるので日食の撮影に良さそうと思ったから。夜にホテルの周りを散歩したが近くにはこれといって何もなかった。あと6台のカメラをリグにはめ込むのに必要なドライバーがないことに気づいて、探し回っていたが結局この日は見つからなかった。とりあえず機材の充電をしながら寝た。

マナド・三日目

8時半にタクシーに乗れば10時の飛行機に間に合うと言われたので、朝食バイキングを食べた後で、時間通りタクシーで空港に向かった。雨が降っていたが9時頃には空港に着き、チェックインを済ませて搭乗ゲートに行こうとしたが、搭乗ゲートが決まっていない。外を見ると、明らかに飛行機の数が足りてない。軒並み遅延していて、搭乗ゲート付近は人が増えるばかり。

その後雨は止み、他の飛行機は次々に離陸していく中、自分の予約していた飛行機の機体は全然来ない。出発予定時刻から10時間経過し、ようやくそれらしい飛行機がやってきて今に至る。

こんな感じで三日分の記録をマナドの空港で書いたのだった。子ども兵の戦争というすごく暗い本をずっとiPad miniで読んでいたりした。

子ども兵の戦争

子ども兵の戦争

 

 WiFiはけっこう不安定で、時々入ったり入らなかったりした。macbook proiPad miniも飛行機に備えてフル充電だったので、10時間の空港ライフでも電池切れにならず暇つぶしに使えたのは良かった。

lion airインドネシアの格安航空会社なのでそれほど便数が多くなく、一度どこかで遅れが発生すると、ドミノ倒しのように次から次へと遅れが連鎖する。今回もガルーダ航空は10時間も遅れていない。天候不順と航空会社固有の問題の両方があり得るのだと今回認識した。

結局ジャカルタの到着したのは夜中で、既にジャカルタシンガポール便は終わっていた。マナド発ジャカルタ行きとジャカルタシンガポール行きをバラバラに購入していたら航空会社が原因の遅延で乗り継ぎに失敗しても後の航空券を放棄せざるを得ない契約になっている。でも今回はマナドからシンガポールまでを一つの予約番号で予約したので、格安航空会社の便であっても最後までの移動手段は保証されている。一応念のためマナドの空港で遅延した旨の書類を書いてもらっていて、それを見せれば翌朝の便でシンガポールまで帰ることができることになっていた。夜のうちに朝にのる便の航空券を確保しておきたかったが、窓口が全然やる気がなくて朝に来いと言われるばかり。

代替のホテルが確保されてあるわけでもなく、絶対にジャカルタ市内には行きたくなかった。ベンチで寝るのも嫌だったので、エアポートホテルに行くことにした。4時間くらいのプランってあるかと尋ねると、そういうプランはないけど、半個室のようなところでリクライニングソファを使うプランはあるとのことなので、それを選択して軽く休んだ。

翌朝空港のカウンターに向かうと、とりあえずそっちで待ってろという、キャンセル待ちのような扱いを受けてなんだかなあと思った。一応手続きはできて、朝のうちにシンガポールに戻ることができた。そして、空港から会社に直行してそのまま働いたので有給休暇を無駄に使わずに済んだ。

マナド・二日目

ブナケン行きのガイドには現金で支払う必要があると言われたので、ATMに行ってお金をおろした。カードでキャッシングというやつである。どこかの団体ツアーに組み込んでくれたのかと思ったら、そんなことは全然なくてガイドが普通に来た。ホテルには2人来たけど、その後同行したのは一人だけなので口利きか何かなんだろう。謎は深まるばかり。港までタクシーで行って、当たり前のようにタクシー代を払わされた。

港で船の手配をするのだが、ガイドが英語を話せなくて意思疎通不能。全くもって使えない。ガイドの知り合いみたいな別のガイドが通訳になって、ブナケン行きに関することを教えてくれた。逆に言えば何も詳細を知らされずに港まで来たわけである。基本的にボートをチャーターしていくわけだけど、その英語を話せるガイドの場合はお客さん何人かでボートをシェアして一人当たり安く行くけど、自分のガイドには他に客がいないので全額こちらが負担となる。こいつ英語話せないからキャンセルして、そっちのボートに乗っていいかと聞いたら、さすがに客を奪うようなこと無理と言われてしまった。まあ他に手段もなさそうだし、しょうがないかということで一人でボートを借りることにした。ブナケン自然公園入園料みたいな環境保護関連のお金もこのときに一緒に払った。英語話せる方のガイドが通訳料みたいなのを天引きしてるように見えたけど、まあ見なかったことにしよう。英語を話せないとつらい世界だ。

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ガイドとボートの人と自分の3人でブナケンに向かう。この船は自分の指示で動いているんだなあと思うと無駄に偉そうな気分になる。現地で飽きたら帰るぞって言えるし、この上なく自由なのは確かだ。持ってきたカメラで誰にも気兼ねなく撮影できるし、まあこれはこれでいいかという気分になった。ガイドが船室の外に出て寝っ転がっていたので、真似をしたらとても気持ち良かった。30分くらいでブナケンに到着。

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ハーフパンツとビーチサンダルでここまで来たが、膝くらいまで深さがあるところで船を降りるので、少し裾を上げる必要がある。やはり靴をホテルに置いてきて正解だった。ガイドにシュノーケリングかダイビングかと聞かれてダイビングと答えると英語を話せるダイバーのところに連れて行ってくれた。ダイバーに一応資格持ってるけど10年くらい潜ってないからベーシックなことをしたいと話すと、基本的なところ復習するコースは機材レンタル料込みでこのくらいと言われ、ちょっと高いなあと思いつつ今更ながら朝ごはんを食べることにした。

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麺かご飯かと聞かれたが、麺がカップラーメンでご飯が黄色いローカルご飯。ローカルご飯を食べたが正直あまり美味しくなかった。起きたの遅くてホテルで食べる暇なかったけど、一人でチャーターするのならホテルで食べてくれば良かった。その後ぐるっと散歩しつつ、他のダイビングの会社に料金を聞いてみた。インストラクターが今ダイブ中だから戻ってきたらいいよということだったが、料金は機材レンタル別で最初の見積もりと同じくらいだったので、最初のところの方が安い。しかも最初の人は暇そうだったのでいつでもスタートできる。マンツーマンでちゃんと教えてくれるなら最初のところでいいかと思ったので、最初のところに戻ってやるよーと伝えた。

ウェットスーツの前後すらも忘れるほど潜ってない。マスクとフィンは自分のものと比べるとちょっとくたびれているけれども、だいたいサイズが合っているので良いだろう。何やらさっき乗ってきたボートの人がウェイトとタンクとジャケットを運ぶのを手伝っている。自分がチャーターしてる船でダイビングスポットまで行くらしい。こういう謎の連携は妙に手際が良い。ジャケットへの空気の出し入れ、ハンドサインの確認をして、マスクに水が入ったときどうするかとか、耳抜きのやり方とか一通り基本的なことを説明してもらう。半分くらい忘れていたので非常にためになった。そして潜る。

これまではオーストラリアのグレートバリアリーフで体験ダイビングをして、その後福井県で資格を取って、それから伊豆で2、3回潜った程度の経験しかないのでサンプル数が少なく評価できないのだが、空いてるし、透明度高いし、何よりダイナミックな地形と、色とりどりの数多くの生きものは見ていて全然飽きなかった。今回は特に鼻づまりもなかったので、すんなり耳抜きもできて実に快適だった。勢いがつくとなかなか止まれないというのは前もそうだったと思う。ガスを結構早く消費してしまうのもそうだが、インストラクターにそれが普通だよと言われた。全体的にスムーズだったので、水深15m辺りを40分くらい潜っていたようだ。マンツーマンだと全然無駄がなくて素晴らしい。

引き続きシュノーケリングを少しやってから陸に上がった。その後カメラのセットアップ。ドライバーでリグのネジを外してカメラを6台はめ込んでいく。少しきつくネジを留めるとピキっと音がしてリグにヒビが入ったので慎重に。その後一つ一つに電源を入れていったのだが、一つだけバッテリーが死んでいて電源が入らない。2日前に全部充電したのだが、これだけ放電してしまったらしい。仕方ないので5台だけで動画を撮る。三脚をいろんなところに運んで撮り、Theta Sでも同じ場所の写真と動画を撮る。



Bunaken island #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

周りは寝っ転がっていたり、トランプをやっていたり、とてものんびりしている。この人たちはきっと一日中そんなふうに過ごしているんだろうな。なんか少し働く意欲がそがれる。また自分が払ったお金でここにいる人たちの何日分もの生活費になるんだろうかと考えたりした。

インストラクターに毎日潜るのと聞いたら、ハイシーズンはそういうこともあるけど基本的にそんなことはないと言われた。日本で潜ったときはなんかダイビングが好きで好きで仕方がなくていつもダイビングのことばかり考えている人がたくさんいて、自分がダイビングから離れた原因の一つになっているのだが、ここの人たちはなんというかもっとのんびりしていた。10年も潜らなかったら忘れちゃうから、せいぜい半年に一回くらいはやるといいよと言われて、そのくらいなら自分のペースに合っていると思ったりした。

一通り写真を撮ったり動画を撮ったりして満足したので、予定より少し早いけど戻ることにした。せっかく自分でボートをチャーターしたんだから、自分のペースでやっていいんだなと改めて認識した。三脚の上にXiaomiカメラ6台セットして、ボートで少し撮影したが、ボートが揺れてカメラが海に落ちそうであまり心臓に良くなかった。



Manado #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

その後Thetaでも同様に撮影して、あとはまったり宿に戻る。ダイビング代の現金が少し足りなかったので、マナドに戻ってからATMでまたお金をおろして払って、ホテルに戻った。

シャワーを浴びたり、水着をざぶざぶ洗ったり、少しまったりしてから散歩したが、これといって宿のそばで見るようなところはなく、ローカルのレストランで食事をしたがこれもいまいちだったりして、地元民の行く店が自分の口に合うとは限らないと言う例を見た気分になった。

マナド・初日

シンガポールに住んでからマレーシアには何度も行ったが、インドネシアにはほとんど行ってなかった。もうちょっと東南アジアを知ろうということで、近頃はインドネシアを重点的に見ている。インドネシアにはいくつか見所があるが、ある友人が好んでピンポイントでマナド(Manado)に行っているという話を聞いて、マナドがどんなところか気になっていた。そして今回、たまたま有給休暇を消化する必要があったので、急遽マナドに行くことにした。

Skyscannerで検索したところ、シンガポールからマナドへはシンガポール航空近距離向けのシルクエアが直行便を週に3便出している。それからインドネシアの格安航空会社のライオンエアがジャカルタ経由便を毎日出している。ジャカルタ経由の良いところは、入国ビザの35ドルがかからない点である。主要5空港のみビザ不要なので、マナドの空港に直行するとビザ代がかかる。時間的に考えれば当然ながら直行便の方が良い。シルクエアが500ドルでライオンエアが300ドルだったので、多少悩んだがライオンエアにした。

続いて宿をどこにするか。マナドからブナケンという島に行ってダイビングをするのが一般的らしい。ブナケンにも宿があるのでブナケンに泊まることも考えたが、行きの飛行機が夜10時着で帰りの飛行機が朝10時発なのでそこまで空港から離れたくないと思ったので、アクセスの良いマナドで宿を探した。ブナケンに泊まらない理由はもう一つあって、真水も食べ物もほとんどないという情報を見かけたからである。海で泳いだら真水のシャワーを浴びたいなあと思ったので、マナドに決めた。宿の予約は使い慣れたBooking.comでまあまあ良さそうで安いところを探す。自分の感覚で安いところであれば、現地感覚で高めのところもあまり気にせず使う。普段働いていて、別にギリギリの生活をしているわけじゃないんだから、そんなに最安値にこだわる必要は全然ないのである。

準備はその程度で、土曜日にのんびり起きて荷造りをして1450分発ジャカルタ行きの飛行機に乗った。格安航空のチェックインは行列するものと思っていたが、チャンギ空港ターミナル3のライオンエアのカウンターは全然混雑してなくて非常にスムーズだった。

到着したジャカルタの空港は、とても広かった。ターミナルが違うので一旦外に出てシャトルバスに乗って移動する。WiFiはターミナル内もシャトルバスでも使えるところが多い。案内板があったりするわけではないのでわかりやすくはないが、聞けばわりと丁寧に教えてくれるし、英語でも問題ないので思ったよりちゃんとしているという印象を受けた。人口の多い島国で飛行機での移動が多いからだと思うが、かなりキャパシティの大きな空港でひっきりなしに飛行機が飛んでいる。

マナドの空港に予定通り着いて、タクシーで宿に向かう。lonely planet情報で空港から中心部までのタクシー代は固定とあったので、宿に手配はせずに空港でタクシーを頼むことにした。到着するとわらわら人が寄ってくるわけだが、チケットを持ってタクシーをアレンジしているっぽい人がいたのでその人にホテルの名前を伝えて、ちょっと待っているとタクシーが来た。ガイドブックにあった値段より150円くらい高かったが、インフレもあるだろうし、夜遅くにそのくらいのお金で面倒臭い事をしたくなかったので、それでホテルまで来た。

ホテルにチェックインする際に、ブナケン行きの手配をした。正直事前に業者を選んで予約しておけばもっと安くすんなりと進んだはずだが、今更そんなことを言ってもしょうがない。朝9時にホテルのロビーに来るとのこと。

晩御飯。凄まじく辛かった。

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皆既日蝕

サイエンスは好きだが、どちらかといえばテクノロジーの方が好きで、天体にはそれほど興味はない。星はペルーやキナバル山に行ったときに見上げた夜空がびっくりするくらい綺麗だったのは印象的だけど、普段は流星群を見ようと思ったりはしない。

しかし、日蝕は少し違う。自分が生まれた日に日蝕があり、それにちなんで自分の名前がつけられたと言われたら、死ぬ前にたった一度だけでいいから皆既日蝕を見てみたいと感じてもそれほど不思議ではないだろう。そのため日蝕というのは、自分にとってある種の特別な存在だった。

それからもう一つ。この曲を初めて聞いたのは、まだ小学生のときだった。


Eclipse PIZZICATO FIVE

このピチカートファイヴ皆既日食という曲のゆったりしたメロディーと歌詞の作り出す独特な世界観がとても気になっていた。

そういえば数年前に日本の硫黄島でも観測できたようだ。


2009年7月22日皆既日食生中継 硫黄島から Total Solar Eclipse on Iwo Jima Live!

わりと単純な性格なので、この映像を見てまた体験したいと思うようになった。

そしてそんな機会がやってくる。3月9日の朝に。

シンガポールでも大きく太陽が欠けるが部分日食なので、皆既日食を見ようと思ったらインドネシアに行く必要がある。スマトラ島のパレンバン、カリマンタン島のバリクパパン、スラウェシ島のパルが今回の主な皆既日食スポットだ。その他船から見ようという企画もある。今回おそらく一番盛り上がることになるのは、お祭りが企画されているパルだろう。

Eclipse Festival 2016 | Sulawesi Indonesia - Eclipse Festival 2016

単純に考えて、普段ほとんど観光客が来ないところで太陽が隠れるからということで人がたくさん行くと、宿や飛行機は一気になくなる。最初にパルの宿を探したがただでさえ少ない宿が完全に埋まっていた。

石油産業で栄えていて大きな国際空港があり出張者用のホテルも多いバリクパパンだとすんなり予約が取れたので8日から2泊3日でバリクパパンに行くことにした。運がなくて曇ったり雨が降ったりしたら、また次を考えればいいということで気楽に。

行くなら全天球動画を撮りたいと思って準備を進めている。とりあえずリコーのTheta Sは使うだろう。このカメラは使い勝手がよく、いい画質の写真が撮れるので気に入っているが、動画の画質に不満が残る。この値段で買えるものにそんな不満を言ってもしかたないのだが。そのためタイムラプス要員として考えている。

動画はXiaomiのYiというアクションカメラを6台使って、ThingiverseにあったSTLファイルデータを使って3Dプリンタで作ったリグでくっつけて6台6方向同時に撮影し、後で動画を編集して全天球動画を作る予定だ。

カメラだけでなく自分で観察することも考えてビューアも買ってみた。

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動画がうまく取れて、BGMにピチカートファイヴ皆既日食を流して、4月に入手するOculus Riftでその日食をもう一度体験できるようになれば楽しいだろうなと妄想している。自分の中から溢れ出てきたよくわからないエネルギーに突き動かされてみるのも悪くない。