大原野

前に欲望を叶える神仏・ご利益案内という本を買った。
ご利益などというものは少しも信じていないし、興味もないが
寺や神社に奉られているもの、歴史的背景がわかるのであれば
おもしろいと思って買った。小松和彦監修というのも理由の一つ。
編者の「妖怪博士」は別の本のまえがきでこう書いている。

私は神秘的な方法で人に危害を与えることができるとは信じていない。
その意味では合理主義者であるといえる。しかしながら、この本で述べたように
「呪い心」に導かれた「呪いのパフォーマンス」は社会学的ないし心理学的意味では
効果を発揮したと考えている。「呪い」はそれなりに効果があったのだ。
人間生活において重要な役割を演じていたのである。

著者がこのようなスタンスだからこそ「分析」が可能なのだと思う。
信仰ではなく知的好奇心による探究が興味深い。


この本に変わった大黒天が載っており、興味を持った。
文字通り大黒天が右手に小槌、左手に袋をもって走っている。
福をはやく届けるために走っているんだとか。ぜひ見てみたい。
ということで京都市西京区大原野の正法寺に行ってきた。
ついでなのですぐそばの勝持寺(花の寺)と大原野神社にも行った。
大体自転車で40分くらいだった。さびれた物集女通りをすすみ
途中で西に折れて坂を上がって行くと急に竹林、住宅地に出て
少々驚いた。洛西ニュータウンに高島屋まであるとは知らなかった。
住宅地を過ぎてさらに驚いた。なんだこののどかな風景はと。
自分が住んでいる所が中心部から離れているのは事実だが
自転車でちょっと走ったところにこんな場所があったと初めて知った。
目的地はさらに山の方なので自転車で奥まで入っていった。
21段切り替えのクロスバイクだと坂道もいくぶん楽である。
だんだん書くのが面倒になってきたので端的に書くと
勝持寺は来るのが一週間くらい早かったらしく、まだ桜が少ししか咲いてなかった。
まあその分空いてて良かったともいえる。
大原野神社春日大社関係らしく狛犬の変わりに鹿がいた。
樹齢450年の樅の木がかなり目立った。
正法寺は東山の借景でも知られているそうだが遠くの山ははっきり見えなかった。
石を動物に見立てた枯山水の多くはかなり強引だが、一つ二つ
それといえないこともなかった。走り大黒天は本当にいた。(当たり前か)