DHBR11月号 中編

二回ではおさまりそうにないので全三回にする。
気になったところをほとんどピックアップすると分量が多いな。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 11月号 [雑誌]
前回と同様目次を参考に
http://www.dhbr.net/magazine/backnumber/200511.html

シーメンス

日本ではヨーロッパの企業のことがあまりよくわからないので
(単に情報収集をサボっているからかもしれないけど)
シーメンスのCEOが自社について語る文章は非常に興味深い。

ベンチマーキングを社内のコンサルティング部門が担当
マッキンゼーやBCGと比べても遜色のない優秀なスタッフが170人いる。
コンサルティングに生涯を捧げるつもりのない人材が当社の門を叩いてくるのです。

社内にコンサルタントがいるとは思わなかった。外圧的要素は弱まるけど
この方がコスト的には安くつくと思う。生涯を捧げるつもりのない人材という
表現が皮肉ってるのか知らないけどなかなかおもしろい。

ドイツ企業は伝統的に資本市場に敏感ではない。

アメリカと比べて株主からのプレッシャーはあまりないそうだ。
むしろアメリカだけ特殊のような気がする。

「コストで差をつけられているのは間違いないが我々の方が品質で優れている」

技術者がこういうことを言っていると会社がピンチになるので注意すべきとのこと。
品質が良くたって売れなかったら全然意味がないな。

ヨーロッパ「楽観している」
アメリカ「確信している」

これはニューヨーク市場に上場して、自社の見通しを発表する際に
「楽観している」ではなく「確信している」と言いなさいとアドバイスされた
ということ。やはりかなりアグレッシブに表現する必要がありそうだ。
そして最後に中国進出について

アメリカ人、ドイツ人一人雇う費用で中国人を6人雇える。
彼らは年間2600時間働く。
進出しないリスクの方が進出するリスクより大きい

実際のところシスコと華為科技の紛争などもあるわけでどうかわからないけど
進出しないリスクと進出するリスクを比較しているのがいいと思う。
動かなければリスクはないと思っている人が世の中には多いみたいだけど
世の中がずっと同じというわけではないから、動かないことにもリスクがある
ってことをきっちり認識しておこうと思った。

P&G

正直言ってあまりめぼしいところはなかった。これ一つくらいである。

取るに足らない選択肢は却下された後もまた議題に上ってくる傾向がある。

そういうわけでNot do listをつくろうとのこと。しっかりと管理できれば
かなりの時間が節約できそうである。

LVMH

タイムレス、モダン、急成長、高収益

この四つがブランドには必要だとか。
モダンをどういう意味で使っていたかは忘れたけど
流行に流されず急成長し高収益を上げるのは大変そうだ。
ルイヴィトンでは

スーツケース五回/minの開閉テストを三週間続ける

とのこと。他社のバッグではすぐに使い物にならなくなるらしい。
テストする機械とかテストする様子を見てみたい。
高いバッグがあっさり壊れたらイメージが崩れてしまうから
こういうテストは必要なんだろうな。

マーケティング部門に広告を任せてはいけない
デザイナーとの親近感を失う距離も広がる

デザインは計算式から出てくるようなものではないから
コンセプトはマーケティングで仕上げはデザインということか?
一概に言い切れるかどうかよくわからないけど、ブランドと
デザイナーの個性というのは関係ありそうな気がする。

スターダムにのし上がるには時間がかかる

とのこと。やはり長期的に作っていくものなんだろうな。

ジェットブルー

当社の航空機には一つのクラスしかなく足元の広い座席は後方にあります。
それは最後に降りるお客様にフライト中は良い座席でゆっくりしていただこうと
いう配慮からです。

オーストラリアでヴァージンブルーという格安の航空会社の飛行機に乗ったときの
ことを思い出した。サービス競争にはしるよりもサービスを最低限にして
価格を抑えて、ちょっとした心遣いをするという戦略はなかなか有効かもしれない。

CEOの「発掘・育成・選抜」のプロセス

その場しのぎでは厳しいのできっちり育てるにはどうしたらいいかというもの。

できれば10年、あるいはそれ以上の期間安心して任せられる経験豊富な人材が欲しい
46歳から52歳が望ましい。そのためにはプログラムを30歳になる前にスタート

ある程度経験豊富な人材は年齢が上になってしまうので、非常に早い段階から
プログラムを開始する必要があるらしい。

CEOへの準備として最も望ましいのは徐々に大きくかつ複雑な事業部門の責任を
担わせていくこと。いかなる場面でもP/L責任を負わせる

このへんがポイントなのかもしれない。経験は少しずつ積み重ねていくものだから
徐々にハードルを上げながらやるべきだということ。そして、利益や損失の感覚が
ない人間に任せるのはきわめてリスキーだから勉強させようということかな。

CEOが自分の時間をかなり割いてでもリーダー候補を見つけ出し、その人物を
理解し、育成する努力を惜しまないこと。
次世代のリーダーの開発は事業運営プロセスの一環としてとらえること

長期的に見るとたしかにこれ自体が事業運営プロセスだろう。
片手までできるようなことではないらしい。確かにGEなど多くの企業で
人材育成が重視されている。CEOの仕事は非常に多いな。

対話を促す一方そのプロセスが形式張らないこと
「自分は特別である」と感じてもらうようにすること

最後のやつって弊害はないんだろうか。
まあ天狗になったら別の候補者にあたるだけか。