DHBR11月号 後編

では三回目。またまた長くなりそう

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 11月号 [雑誌]
前回と同様目次を参考に
http://www.dhbr.net/magazine/backnumber/200511.html

サービス・サイエンスの可能性

森本典繁 日本IBM 東京基礎研究所 サイエンス&テクノロジー担当 部長
澤谷由里子 IBCS オン・デマンド・イノベーション・サービス マネジャー
サイエンスがいろいろな領域に適用されているが、サービスの分野では
全然進んでないんじゃないだろうかということで、サービスサイエンスを
提案しているのがこの文章。研究者とコンサルタントが一緒に仕事をして
いろいろぶつかり合っているのが非常に興味深い。

シンガポール航空チャンギ空港が提携して、コアカスタマー9000人に
指紋と顔情報の入ったスマートカードを配布。
セキュリティチェックから出国審査までの時間を数十分から数分にした

指紋とか顔情報ってけっこう物議を醸すわけだが、こうやって
コアカスタマーに限定して、特別なサービスとして提供することで
問題を回避するのはなかなか賢いと思う。

IBM基礎研とIBCSで組織改編を定量的に評価。eメールの量により社内の
組織間の距離、影響度、親密度などをウェート付けして評価。

eメールの中身には触れず、その量に着目してマッピングをしているのだが
組織の関係が一目でわかるので非常におもしろい。

研究者とコンサルタントの同床異夢
「すぐに結果やデモを見せろといわれても研究中で完成していない物は見せにくい」
「話がどう発展するかわからないのだから手短にイメージを見せて欲しい」

他にもいくつか典型的な認識の差を示していた。どちらの考え方もよくわかるし
どちらも言っていることが正しいだけになかなか面倒な問題だと思う。
相手のことを良く知るというのがきっと近道なんだろう

キャリア転換を成功させるコミュニケーション術

ハーミニア・イバーラ INSEAD 教授
ケント・ラインバック ライター
転職をしようとしている人にその人の経歴の話を聞いてもおもしろくないことが
多いんだとか。どうすればおもしろくなるか、どうすれば聞き手を引き付けるのか
そういうことに関する研究。

一貫性のあるストーリーにする

  • 興味を抱く主人公
  • きっかけとなる人物
  • 試練と苦難
  • 転機
  • 解決

転職に限らず人をひきつけるストーリーにはこういう要素があるらしい。
自分のストーリーにもこういう要素を入れろってことだろうか。
ちょっと無理があるような気がしないでもない。

内面的な理由、基本的な性格、特性が説得力あふれる根拠となっている

  • 私はそれが得意なことに気づきました
  • 私はそれが好きで本当の喜びが得られるのです

そもそもそういう性格なんだと言われると、特に文句のつけようがないな。
そういう攻め方がいいらしい。戦術の一つとして有効かも。

自分以外の何かに理由を見出そうとすべきではない

これはこういう部門にまわされて、こういう仕事をやらされてみたいな
いいかたをすると、運命に流されるタイプと言うことであまりよく思われない。
試験に落ちたからとか内定がもらえなかったとかそういう自分以外の何かに
理由を見出さず、自分が自ら動いたことを言おうということかな。

裏付ける理由は豊富で多様なほど理解されやすい

多くの切り口があると良いと思うが、どこかに収束する必要はあるとも思う

とにかく語るべし

やはり実践あるのみ

Competent Jerks, Lovable Fools

有能な嫌われ者と愛すべき愚か者。なんというかこの挿絵がよかった。
一緒に仕事をするならどっちがいいかとか、そういう人をうまく
組織として活用するにはどうしたらいいかということを示していた。

有能な嫌われ者より愛すべき愚か者を選ぶのはプロらしくない
感じがするからその現実を自分では認めたくない

そういうわけでどっちが良いかと言われると有能な方をいうが
困ったときにどっちに手伝ってもらうかとかそういう細かい質問だと
愛すべき愚か者を選ぶ人が多いんだそうだ。

人は見慣れたものに引かれる傾向がある
日常的に付き合うことで気楽に楽しく交流できるようになる
人は自分に心底好感を抱いてくれる人を好む

言われてみるとなかなか的を射ていると思った。そういう傾向はあると思う。
自分が嫌われていると思ったらなかなか好感を抱けない。
愛すべき愚か者をうまく使う方法として

精神的支柱、コーディネータ、伝道師

こういう役割をしてもらうことが挙げられていた。
スポーツとかでもこういうのってありそうだな。
一方有能な嫌われ者をうまく使うにはコーチングが良いらしい

自分本位で野心的な人は自分のためになる話には耳を傾ける

打算だろうと耳を傾けるなら良いと思う。
嫌われ者を異動させるというのもいいらしい。

独立して活動すれば実力を発揮できる

非常に理にかなっているけど合理的過ぎるな。

エクセレントマネジャーの資質

凡庸なマネジャーとエクセレントマネジャーにはこういう違いがある
ということをいろいろ研究した文章。

凡庸なマネジャーはチェッカーに興ずるが、エクセレントマネジャーはチェスを好む

チェッカーはすべて同じ駒だけど、チェスは一つ一つことなる。
型にはめてはいけないということをうまく表していると思う。

個性を存分に発揮させた方が効率的で時間の節約になる
本人が責任感を持つ
相互に補強しあうのでチームワークに好影響
伝統を一新し組織を活性化 

相互に補強しあうというのが非常に興味深い。
たしかにこれが得意なのは○○さんとかいう感じで得意分野が
明確になって個性を発揮していれば補強しあうだろうな。

言動をつぶさに観察し、話に耳を傾け何が得意で何が苦手か記憶

というわけで上に立つ人はなかなか大変だと思った。

過去三ヶ月で仕事をしていてよかったと感じたのはいつか
同じ期間で最悪だったと思う日はいつか

こういう質問をするとその人の性格がよくわかるらしい。
何に対して喜びを感じるかとかそういうのは面接にも通じそう。

自己認識ではなく自己保証 努力をほめるのではなく長所を生かしたことが
成功につながったと指摘する。目標の高さと規模を強調する
短所ではなく努力不足だという。

ほめながらも有頂天にならないように目標の高さを強調しているあたりが
なかなか抜け目がないと思う。できなければ努力不足、できれば能力。
ちょっと都合が良すぎる気がしないでもないけど褒め方だからいいか。

最大のきっかけは給与ではなく評価
各社員に最も適した方法で評価する。最も貴重な資源は時間。
個性を全体の業務に生かしていくことが最も効率的に時間を投資する方法

給与ばっかりだと昔のデルみたいになっちゃうよってことだろうか。
とりあえずこういう環境で働きたいと思った。