日本語の作文技術

この本を読むと自分の日本語力がどれだけひどいものなのかよくわかった。

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本多 勝一
朝日新聞社出版局 1982-01

by G-Tools

会社の先輩が仕事に役立つということで貸してくれた本。かなり使える。
思想的にいかがなものかと思う部分も多いのだが、この本で書かれている
文章を書く技術は非常に参考になる。ブログの書き方もちょっと考えてしまう。

  • 節を先に、句をあとに。
  • 長い修飾語ほど先に、短いほどあとに。
  • 大状況・重要内容ほど先に
  • 親和度(なじみ)の強弱により配置転換。
  • 長い修飾語が2つ以上あるとき、その境界にテンをうつ。
  • 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。
  • ひとつの文(または句)の中では3つ以上のハをなるべく使わない

これらのポイントをちゃんとおさえておこう。


例文書かないと意味不明だと思うので取り上げてみる。

①Aが
②私がふるえるほど大嫌いなBを
③私の親友のCに
紹介した。

例えばこういう内容の文章を書きたいと思ったときに
どのような順番で並べればよいのかということが書いてある。

Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。

のように並べると、読み手が「Aが私が」のところで戸惑ってしまう。
誤解を招くのは日本語としてけしからんという話である。

私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCにAが紹介した。

とすると一読してわかるのでよろしいとのこと。
長い修飾語ほど先に書けというのはこういうことらしい。
ただ、Aを強調したいとき、Aを先にもってきたいときは

Aが、私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。

のようにテンをうちなさいとのこと。
原則的語順が逆順の場合にテンをうつというのはこういうことである。
これはかなり参考になった。日本人だから日本語がわかるなんてのは
大間違いだとわかった。きっちり日本語を勉強しよう。


近頃翻訳をしていて、けっこうデリケートな日本語の使い方を要求される。
なんとなく訳していたのでけっこう突っ込まれた。似たような例文が
本に載っていたので取り上げてみよう。

イヌとネコとサルがけんかした。

何も考えずにこういう風に書いてしまうのだが、これはダメな例。
「イヌとネコ」とサルがけんかする、すなわちサルがイヌとネコの同盟軍と
けんかしたようにも解釈できてしまうのでまずいということ。
解釈にゆれがあるのは日本語として失格なんだろう。

イヌとネコとサルとがけんかした。

こうやって「と」を入れれば、三者が入り乱れてのけんかであることが
明白で揺らぎがなくなるのでよいらしい。日本語があいまいというのは
よく言われることだが、この著者によるとそんなことは全然なくて
使い方が下手だからあいまいになるそうだ。気をつけたほうが良さそうだ。

「が」という接続助詞は便利である。一つの「が」をもっていればどんな文章でも
楽に書ける。しかし、私は、文章の勉強は、この重宝な「が」を警戒するところから
始まるものと信じている。

これも本に出ていた気になる部分である。あんまり気にしすぎるとブログが
書けなくなってしまうので少しずつ改善していきたい。