世間のウソ

4106100991世間のウソ
日垣 隆
新潮社 2005-01

by G-Tools

近頃読み始めたダイソンの本がなかなか進まないので、全般的な読書ペースが
落ちているのだが、少しずつでも読み終わった本の感想を書いていこうかと思う。
この「世間のウソ」はマスメディアを信じ込んでしまうには衝撃的な内容かもしれないけど
基本的になんでも冷ややかに見つめる自分としてはそれほどでもない内容だった。
面白いのは面白いけどこんなに熱くなって書かなくてもと思ってしまう。

さて、ともかく日本の公然たる賭博は、実際のところ象徴の既得権益としてだけ
罷り通っています。
宝くじ 総務省(当せん金付証票法)
競馬 農林水産省地方自治体(競馬法)
パチンコ 警察庁(風営法
競輪 経済産業省(自転車競技法)
競艇 国土交通省(モーターボート法)
サッカーくじ 文部科学省(スポーツ振興投票実施法)
オートレース 経済産業省小型自動車競走法)
といった具合です。
そして、ギャンブラー(賭博ファン、宝くじ購入者)にとって損益を考える上で
最も肝要な指標は、「一万円を賭けるごとに負ける平均額」です。
ルーレット(米国)500円から800円
丁半ばくち 500円
バカラ 67円または117円
スロットマシン(米国)420円
日本の競馬 2500円
日本の宝くじ 5200円
〜中略〜
つまり日本の宝くじ売り場に並んでいるのは、本物の××かカモネギちゃんということになります。
あとは年末恒例、政府とみずほ銀行への寄付と割り切っている心やさしい人とかも。

日本には心やさしい人が多いんだな。
胴元が確実に儲かるからこういうことをやっているわけで
まあ当然といえば当然。別に慈善事業でやってるわけじゃない。
ここまで一覧にはなってなかったけど、別の本でもこういうのを
読んだような気がする。期待値を計算すればすぐわかる話。
別に他人の商売の邪魔をするつもりはないし、買いたい人は
買えばいいんじゃないかと思う。何か言うのもお節介だし。
まあでも借金してこういうことをして金がなくなって、
犯罪に走ったり、列車に飛び込んだりするのは非常に迷惑なので
できれば俺の近くではやらないで欲しい。

したがって私は、取り返しのつかない凶悪犯罪(殺人、傷害致死、放火、強盗)で犯人に動機なるものを語らせることに反対はしませんが、その動機のいかんによって罪を軽くすることは止め、あくまで被害者に与えた「被害の深刻さ」によって裁くべきだ、と以前から主張してきました。

これは非常に思う。動機が何であったって別に関係ないはず。
もっと機械的に結果からみてやった方が納得しやすいような気がする。
それはまあ小中学生が犯した犯罪の場合、更正するためとか言うのかもしれないし
「家栽の人」とか読んでたら全面的に否定はできないんだけど、
それよりもむしろその地域に住む人に与えるリスクとかを考えて欲しい。

そしてまた、熱中しているネットでの苛立ちが事件に結びつかない未成年者は数百万人も居ますし、カッターナイフを使った殺人ドラマを見てもそれを応用しようと思わない視聴者は数千万人もいます。

これは確かにそうだな。忘れられがちなんだけど。そういう危険性があるから使わせないように
するとか、ドラマを自粛とかするのは非常に国民、視聴者を馬鹿にしているんだということを
非常に感じる。幼稚園児くらいの判断力しかないと思われているんだろう。
まあそれでこれまでうまく回ってきたんだから、それはそれで間違ってなかったかも。

キリスト教やイスラム教は、一貫して最初から人間性悪説に立っているので、このあたりの議論はクリアなのですが、この国の教育観は圧倒的に性善説が取られて来たので、ちょっと説明が面倒かもしれません。

これはちょっと新しい切り口のように感じた。だからって全面的に性悪説がいいって
わけではないけど、性悪説という視点も非常に重要ではないかと思う。
根っこの部分は性悪説で、表面的には性善説というのがローリスクで楽しそう。