ウェブ時代をゆく 群衆の叡智というブラックボックス

まともに書くと何回になるかわかんない。とりあえず印象を手短に書く。

世の中には、「これまで言葉を発してこなかった」面白い人たちがたくさんいる。私は『ウェブ進化論』の書評や感想をネット上で二万近く読み、そのことを心の底から実感した。

正直言って、これまで梅田さんがなぜここまで大量の書評を読んでいるのか理解できなかった。
読んでいる量が尋常ではない。何があの人をそこまで駆り立てるのか気になっていた。
単に、反応が知りたいから、楽しいから、にしては、手間がかかりすぎる気がする。

私はどうしてもこの知を「閉鎖空間」から解き放ち、ネット上でオープンに共有してみたかった。

ここを読んで、少しだけ意図が分かったような気がした。
ある種の実験だな。群衆の叡智というブラックボックスに対して
本やブログで情報をインプットし、リアクションというアウトプットを受信する。
これを入れたら、これが返ってくるという試行錯誤を繰り返して
このブラックボックスの動作原理を感覚として理解したいんだろう。
実験で情報を入力したのに、受信しないやつなんていない。
フィードバックを得ると言うことは、そういう意味なんだろう。


もう実験は始まっていて、ある程度制御もできている気がする。
全部を制御することなんて不可能だし、できたらできたでつまらないから、
その不確定要素を楽しんでいるような印象を受ける。
一つ一つリアクションを見たわけではないが、ネガティブな評価は少ない。
それはまあ著者が感想を読んでるって言ってるんだから、
ネガティブなことは書きにくいよな。読者心理を突いている。
あと、内容がポジティブだし、当然ロジックにも隙がないから
難癖をつけている人がネガティブな人みたいな構図も作れる。
(これを勝手に糸井重里メソッドと個人的に呼んでいる。)
そして何より、著者の人生そのものを全力でぶつけてきている本だ。
それには感想を書く側も全力で応えなくちゃという気分になる。


梅田さんがこれまで生きてきて、ずっと考えてきたことを
全力でこのブラックボックスに放り込んだわけだから、
出力として何が出てくるのかは当然気になるわけだ。
一年くらいずっと楽しみにしていた「祭り」なんだから。
営業っぽい本を書かないで、解脱したといってたけど、
お金を払ってでも知りたい出力を知ろうと言うんだから
十分よこしまだよ、と個人的に思うわけである。
プロセスを楽しみながら、出力と動作原理を感覚として理解して、
その次は何を入力していくんだろう。それが気になった。
ゲームに参加したい人は買えばいいと思う。ランチ一回分だ。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)梅田 望夫

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