ICJS Event: The One-Laptop-Per-Child projectに行ってきた

先日スラッシュドット経由でこんな記事を見つけた。

11月19日の19:30-21:30にテンプル大学ジャパンキャンパス三田校舎でOLPCについてお話します。
タイトルにOLPCと付いていますが、例によってSqueak Etoysとそれにまつわる話が多くなると思います。また、恐ろしいことに英語での発表ですが、根性でがんばります。

ICJS Event: The One-Laptop-Per-Child project - One Etoy Per Child

OLPCには、以前から少なからず関心があり、今日だ、しかも近所だ、
ってことで行ってきた。開始前に少し時間があったので、
実物を見ながら講演者の阿部さんの話ができてよかった。
では、ざっくりと講演の感想を書いていこう。

  1. プロジェクトの概要とハードウェアの説明
  2. ソフトウェアの説明と実演

というのが主な内容だったように思う。
阿部さんは、アラン・ケイと10年くらい一緒に仕事をしていて
OLPCについてはソフトウェア開発で関わっているとのこと。
SmalltalkSqueakプログラマーで、主な関心事もそのあたり。

プロジェクトの概要

It is an education project, not a laptop project.
というわけで、100ドルPCを配ることが注目されがちだけど
実際に目指すのは、その後の教育を変えていくことである。
ターゲットは6歳から12歳あたりの子どもたち。
ギークな人が端末に関心を持っていたりするけど、intelのclassmateみたいな
他の端末より非力だし、あくまでも子ども向けですよとのこと。
それから、シーモア・パパートの

'learning-by-making'

Constructionism (learning theory) - Wikipedia, the free encyclopedia

という思想の影響も受けているようだ。

ハードウェアの説明

今アメリカ、ヨーロッパのG1G1で売られているのは、XOというもの。
手回し発電のクランクはオプションらしい。いろいろな電圧で使えて、
自転車のダイナモや、牛を歩かせる等も例として挙げられていた。
無線LANは、従来のものに加えて802.11sというメッシュネットワークも可。
キーボードが小さいのは、小学生あたりのためのものだから。
アランケイが40年前からイメージしてた理想のコンピュータDynabook

"We wanted the Dynabook to be like the HP calculator except to be a real live computer. This was the inspiration for all that we were thinking about"

404 Not Found

影も形もなかった頃からそこまでイメージしてるのがすごい。

ソフトウェアの説明

Squeak etoysというものを使って、子どもたちが何かを作りながら学ぶ。
この動画の3分40秒あたりからデモンストレーションが見られる。
http://en.sevenload.com/videos/bnqnozO-Squeak-on-Lab-with-Leo

 Squeakは、日本では主に教育分野で取り入れられている。特に図形描画ツールとGUIプログラミングとを融合したEToysプラグイン(以下EToys)を用いたプログラミング教材は、小学校低学年向けから高校生向けまで幅広く存在する。

Squeakでプログラミング入門--Squeakと学習指導要領の改訂案 - builder by ZDNet Japan

この辺の説明も詳しい。「亀を/120度/回転させる」みたいに
ブロックで組み立てた指示にしたがって操作するのが興味深い。
そんな感じで三角形、四角形などを描くプログラムを使った
デモンストレーションが非常に面白かった。
バグが出た時にどう直すか考えることで学習するというのは
当たり前のことだけど、非常に効果的な手法だと思った。
結局何かを教えるよりも、興味を持って自発的にやった方が
間違いなく楽しいし効果的なんだろうな。

その他いろいろ

OLPCのスピンアウトとして、SugarlabsとPixel Qiを取り上げていた。
営利企業との関わりとか、OSをどうするかとかけっこうややこしい。
いろいろなスタンスがあるだろうけど、教育プロジェクトだから
'learning-by-making'が可能な環境が広まればいいと思う。
どこの国に生まれたとしても、機会は公平にあって欲しいから。


そもそも自分がなぜOLPCに興味を持ったのか考えてみた。

これからの世の中は実際にはあんまり変わんなくて
談合と補助金が中心のままなのかもしれないけど、
この本に書かれているような価値観が強くなっていったら
世の中面白いと思うし、そうなって欲しいなと期待してるし
そうしていくにはどうしたらいいだろうかと考えたりする。
そのときに、こういう先人が書き残してくれた文章が
なんらかの形で指針となったりするかもしれない。
そんな日が来るのはそれほど遠くないと僕は思う。

社員をサーフィンに行かせよう - technophobia

大したことは何もできないけど、自分が学んだことを
何らかの形で活かせないかなと思ったからかもしれない。
自分が最大限の力を発揮できるのは、個人的な関心事だろうし、
誰に強いられることもなく、自発的に積極的にやることだろう。
テクノロジーという自分の関心事を利用して、

世の中にはわざわざ活気を与えなくても
ぎらぎらとやる気に満ち溢れた連中がいますから
そいつらにチャンスを与えるような社会を
目指したらいいんじゃないかと感じます。

書きたかったこといろいろ - technophobia

ということに関わっていけたら楽しそうだ。
こうして改めていろいろと考えるきっかけとなった
イベントの関係者の方々、ありがとうございました。