ウェブでどう学ぶか

「ウェブで学ぶ」という本の紹介もいいけど、自分がどうウェブで学ぼうとしてきたかも書いておこう。自分が工学部出身だからかもしれないが、MITはずっと気になる存在だった。そんなわけでMITの講義が公開されることを知ったとき、非常に驚いたと同時にうれしかった。でも6年前の自分は、以下のように冷静にまとめている。

使いこなせば相当の効果が期待できるのだが
そこまで到達するのが大変そうである。
世の中にはそういった使いこなせていない
宝物は少なくないだろうから何とかしたい。

MITオープンコース - technophobia

あれから6年、MITに限らず、オープンコースウェアiTunes Uなどをいくつか試してみた。iPadiTunesというツール、自分の英語力の伸び、ニーズの明確化などもあって、少しはとっかかりが見えてきた気がする。使いこなすというレベルにはほど遠いけれど。

  • 動画付き限定
  • 長くても頑張る
  • 見るだけじゃなくて手を動かす
  • 目的を持って取り組む
  • 優先順位を高めに

自分の性格からいって、この5つが重要だと思った。講義資料のみで動画なしというのは、いくつか見たけれどもどうにもやる気が起こらなかった。あと大学の講義なんだから長くて当たり前。昔できていたことは、今でもできるようにしておこう。だらだら見ても時間の無駄。ちゃんとノートを取って、ちゃんと計算したりしないと効果なし。で、自分が何を学びたいのかを明確にして取り組もう。貴重な時間を投資するんだから、方向性を間違ってはいけない。で、ハイペースでやるのが良い。あんまり間を空けると前回の分を忘れてしまって、余計に手間がかかるから。ということで優先順位を高めに。では駄目な例を2つ挙げておこう。

英語で物理

http://d.hatena.ne.jp/pho/20080223/1203780876http://d.hatena.ne.jp/pho/20081031/p1
結局2回しかみてないのが駄目なところ。講義が見たいのかブログを書きたいのか目的が不明確なのもよろしくない。ノートは英語で取らないと。あと、既に知っていることを確認するようなやり方はあんまり良くないな。志が低いから。他の人に内容を知らせようとか、そういう考え方が良くない。大切なのは自分が学ぶことなんだから。じっくり中身を見ているのは良いところ。

statistics@UC Berkeley

http://studyroom.g.hatena.ne.jp/pho/?word=*[statistics]
今のコースと一緒に統計学のコースも出願していて、講義についていけるのかなと不安になったので使ってみたのがこのUC Berkeleyの講義動画。通常のブログと一緒にするのはなんか嫌だったので別のところで書いてみた。真剣に講義を聴くと当然のことながら留学の予行演習になる。キーボードとはてなのお絵描き機能を駆使してノートも取ってみた。やめた理由は、結局統計学ではなく今のコースを取ることにしたから。お絵描き機能は試行錯誤をしてみたけどいまいちだったな。動画をiPadで見て、入力をMacbook proでやってたけど、入力は紙のノートの方が良いのかなという気がしてきた。iPadはviewerとして非常に使えるけど、入力端末としてはまだ発展途上な気がする。端末自体もユーザー自身も。

感想

一朝一夕に身に付くものではないから、長い目で見ながら本腰を入れてやる必要があると思う。一人でやるのが難しそうなら、何人かで同じコースを受講して疑問をぶつけ合ってみると面白いかもしれない。自分はこれをやってみてこう思ったというのを手軽に共有できる環境があると便利かもしれない。オンラインでもオフラインでも。結局のところ興味関心の重なる部分で協力しながらやっていくのが、モチベーションを維持するのに有効かと。
いくつかやってみた感想として、なんとなく面白そうという程度では動機付けとして弱い。それ自体が非常に面白いとか、ものすごく必要に迫られているとか、前々から非常に気になっているとか、そういったものがあるのとないのとでは大きく異なる気がする。あとは時間を割り当ててやるだけかと。
最後に、オンラインで学ぶことができるのに、仕事を辞めて高い授業料を払って海外の大学に行く価値はあるのか?ということに触れておこう。一言でいえば、行きたかったんだからしょーがない、で片付く。もうちょっと付け加えると、今やらないと一生やらないだろうなあとか、もう4年働いたから社会人経験なしじゃないとか、留学できるくらいお金が貯まったとか、そんな感じ。
オンラインで学ぶことをメインにすることに対する最大の懸念は、お墨付きがないこと(改善されつつあるようなので情報をupdateしていく必要がある)。学歴というのは、必須ではないけれども、ある課程を修了したことを手っ取り早く示すツールではある。何らかの形で実力を示すというやり方もあるだろうとは思ったが、学歴という武器なしで切り込んでいく自信がない。特にどこか別の国でやっていくならばなおさらそういうお墨付きが必要だと思う。でもオンラインで学習するツール自体は、留学しながらとか働きながらとか、使い道はたくさんある。それにあるものは徹底的に活用するのがオープンエデュケーションだ。