この3ヶ月で身についたこと

これを書くと日本で4年間仕事で何してたんだと言われそうだけど、書いておこう。ちなみに日本では4年間外資系電機メーカーの知財部で働き、現在シンガポールの特許事務所で働いて4ヶ月目。

電話

日本では仕事で電話をかけたことも受けたこともなかった。社内もゼロ。こっちでは1日3、4回内線で話してる気がする。お客さんとか特許庁とかは週に2,3回。クレーム対応みたいなネガティブな場合は別として、ニュートラルな場合は慣れるとどうってことないな。シンガポールの特許庁はいまのところけっこうフレンドリーにいろいろ教えてくれる。

請求書

これまた日本では全然関わってなかった。こっちでは1日3,4枚サインしてるような気がする。項目とか金額とか宛名とかチェックするわけだ。ドイツのお客さんには郵送しなきゃいけないとか、purchase order numberを請求書に書かないとお客さんが払ってくれないとか、普段やり取りしてるとこと別の部門宛に送らないといけないとか、お客さんが使ってるオンラインのシステムに入力しないとだめとか、普段やり取りしてる特許事務所ではなく出願人宛に送らないととか、いろいろあると知る。まあこれをやるとお金の流れがわかるので、それは非常に勉強になる。

期限管理

日本だと今月の中間処理と新件翻訳って割り振られて部内期限だけ見てればよかったから月10件もないくらいだったけど、今は500件くらいの案件があってモグラたたきのように次から次へと顔を出してくるのでやばい。明細書の翻訳はやってないけど、中間処理はやっていて、その他新規の問い合わせとかもあるので、あの頃は平和だったという気分になる。

外国出願

今扱ってるのは、シンガポール、インドネシア、タイ、インドがメインで、たまにフィリピンと中国。国ごとに必要書類が違うし、いろんな期日も別だし、まあまあ頭に入ってきたけどなかなか厄介。委任状とか譲渡証とかサインをもらって郵送してもらわないといけないわけで、特許出願というのは面倒なんだなあと改めて認識している次第である。日本に居たときは明細書を翻訳して管理の人に渡したら終りだったので、日本の出願についてこっちの同僚に聞かれても全然答えられなかった。

英語

当たり前なんだけど、英語でメールして、英語で電話して、英語で会議して、英語で雑談して、英語で指示出して、英語のメールのやり取りをみて、英語の明細書を読むわけだ。習うより慣れよというのはまさにそうで、大量に処理すべき案件があって迷ってる暇なんてなかったりすると、どんどんやらざるを得ない状況なのでいちいち英語と意識してる暇がない。相手に聞き返されたりもするけど、自信を持ってはっきり言えばいいだけのこと。自分に専門知識があって、それに基づいた意見を述べるんだから、いちいち臆することはない。

まとめ

思ったよりも良い修行になっている模様。早く日本人であることに頼らず働けるようになりたいものである。まあ現状も日本のお客さん比率は1割くらいだけど。
他の国の審査結果を多かれ少なかれ利用するのは、今後ますます主流になっていくんだろうという気がする。明細書を書いたり中間処理をして特許を取得するのは重要なことだけど、それができる人は世界中にたくさんいるわけで、自分が目指すのはそこじゃないと思ったから今ここにいる。金融商品としての特許、どうしたら研究にお金を回すことができるのか、初心を忘れずにいたいものである。