鉄道ファンと一口に言っても、電車に乗る乗り鉄、電車を撮影する撮り鉄、鉄道模型を走らせる模型鉄、音にこだわる聞き鉄、時刻表やダイヤ図を愛好するスジ鉄、切符などを集める収集鉄、駅弁を愛好する駅弁鉄などなど居てとても沼は広く深いようである。
自分はいろいろな場所で色々な乗り物に乗りたいという軽めの願望があるが、コアなファンと呼べるほどのものではない。でも深圳滞在中にちょっと変わったトラム(路面電車)があるという情報を入手し、行ってみたらそんなライトなファンでもなかなか楽しめたのでここで紹介しよう。
場所は地下鉄4号線の終点(現在延伸工事中)の清湖駅
路線図はこんな感じ。大和という駅まで一本で、そこから二手に分かれている。高徳地図で有轨电车1路、有轨电车2路で検索してみると良い。
このトラムの何が面白いかというと、上に架線がないことだ。上部がとてもスッキリしている。
これは歩道橋から撮影したものだが、柵の中に線路があって、ただそれだけなのである。ここに路面電車が車のように走っているというとても不思議な光景となっている。
電車というのは電力で走るわけで何かしらの手段で電力を供給する必要がある。初期の路面電車は地表から電力を供給していたが、人が通るところなので感電の恐れがありとても安全とは言えない。そこで、人の手が届きにくい車両上部の架線から給電する方式が多くの都市の路面電車で採用されている。
しかし、電気自動車が走るほどバッテリー技術が大きく発展したご時世なのでもっと違った形があっても良い。そう考えたかどうかは知らないが、この深圳のトラムでは各駅で車両上部で充電している。
そんな高頻度で充放電を繰り返してバッテリーの寿命は大丈夫なんだろうかと気にならなくもないが、都市の景観的にもメンテナンス的な意味でもとても優れた仕組みだと思う。
ちなみに深圳通で乗れる。QRコードでも乗れそう。
車両自体はこれといって可もなく不可もなく、新しい電車という感じ。
もっと詳しく知りたい人は、YouTubeに上がっていたこの動画を見ると良い。
【鉄道PV】深圳有軌電車 Documentary of Shenzhen Tram
ちなみにこういう電車は深圳だけではなくて他の都市にもある。
技術的な視点でいえばこのACCUMとそう違わないかもしれない。
でも電線が地中に埋められた都市で、路面電車が各駅給電のみで架線なく走り、BYDの電気自動車のタクシーが大量に走るという全体的なコンセプトの面白さはあると思う。
お蔵入りになった技術に価値なんてなくて、技術が社会にどのように実装されるかが大事であり、その実験場として試行錯誤を繰り返している過程を見られる場所として自分は深圳を見ているように思う。
To invent, you need a good imagination and a pile of junk.と言ったのはトーマス・エジソンだったか。ごみの山を作ることを恐れては何も新しいことはできないので、荒削りでも実験を繰り返して次から次へと変なものが出てくる深圳であり続けて欲しい。