ルアンパバーン2日目

ルアンパバーンには「何もない」が「ある」みたいな禅問答のような話をよく聞く。メコン川の支流であるナムカーン川を見下ろすカフェUtopiaに行ったときにその意味がわかった。

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ラオスにいったい何があるというんですか?という村上春樹の紀行文集にもそんな話があった。ちなみにこの本はラオスの話なんてほとんどなくて、ボストンや熊本の話ばかりなのだが、この人のエッセイや紀行文はこの人の小説よりも好きなので良いこととする。

それにしてもこのカフェ、入り口のところで驚いた。京都のあの寮の談話室そのものではないかと。人をダメにする空気が凄まじく、やる気が限りなく吸い上げられてしまう。

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川沿いを少し歩くと竹の橋がかかっている。雨季には使えなくなるものらしい。

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少しお金を払えば渡れるので渡ってみたが、一歩踏み出すたびに表面の竹がミシミシ変形するのでちょっと怖い。徳島のかずら橋の五倍位怖い。案外土台はしっかりしているので身の危険は感じないが、何かのきっかけで一箇所崩壊するとすぐに全滅しそうである。

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橋を渡ったところにラオラオというローカル米焼酎を売っているところがあるが、このときはあまり見ていない。

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それからその後数回行くことになるJoma Bakery Cafeへ。ベーカリーというだけあってパンがとても美味しい。コーヒーも美味しく、店も居心地が良い。

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道を歩いていると何か干しているのが見えた。よくわからなかった。

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たまたまグーグルマップでヨーグルトの店を見かけたので行ってみたら、格安でフローズンヨーグルトを売っていた。

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一番と言われると反例を探したくなるので、他の店でヨーグルトを注文してみた。まあどっちも美味しいな。よく固まるギリシャ系ではなく、サラサラのダノン系に近い。使っている種菌がそういうタイプなのかもしれない。ちなみにこのフランス系カフェのクロワッサンすごく美味しかった。渋谷のヴィロンと甲乙つけがたい。

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あとはローカルの店でカオソーイとか揚げ春巻きとか食べてビアラオ飲んでた。

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ビアラオゴールド。

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こんな感じで当たり障りなくどうということもなく過ごしていた。それがある種ルアンパバーン的な「正しい」過ごし方なのだろう。

町を歩くときはトゥクトゥクを使わずにひたすら歩いて回っている。レンタサイクルくらい借りても良かったかもしれないが、歩けないこともない。気になった道をくまなく歩き、自分の脳内にある地図と重ね合わせ、方角や距離感の微調整を行い続けることによってレイヤーが一つ増える。脳内でARができる。そんな瞬間がたまらなく楽しいから旅を続けているのかもしれない。地図を見ること自体も好きだが、地図の上の情報が現実の地形に重なったときの自分の世界が広がった感覚がとても好きだ。

知らない土地に降り立ったときのやや不安な気持ちから、数時間歩きまわって何か征服したような錯覚を覚えるまでのプロセスがいい。だからこれからも未知を遭遇していきたい。