DHBR11月号 前編

購読してから一年が経過した。月一冊なかなかヘビーだが、一応積読ではなく
ちゃんと読めている。そして非常にためになっている気がするので、一年前の選択は
きっと間違ってなかったんだろう。支払ったお金のことは忘れてしまったので
あと二年無料で送られてくるような気分だからなかなか悪くない。
今日から読んで気になったところをメモし、それをベースに書くつもり。引用が増え、
文章が長くなるけどそれなりに情報が含まれるようになるだろうと思う。
著作権を侵害するつもりはないので、引用ではなく転載とみなされる恐れがあるときは
不特定多数への公開を自粛するつもりだが、書評なのでまあ心配しなくてもいいか


Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 11月号 [雑誌]
ここに目次と簡単な説明があるので参考にするといいかもしれない。
http://www.dhbr.net/magazine/backnumber/200511.html

ブロークンウィンドー理論

窓が一つ割られたのを放置しておくと次々に割られるとかそんな感じの理論
だったような気がする。それを会社に置き換えたのがこのコラム。
ニューヨークで物乞いや落書きなどを徹底的になくしてみたところ
犯罪も減ったそうだ。会社もどうしようもなく無能な社員や社内のよごれなど
他の社員のモチベーションを低下させるものを排除するべきだとか。

小さなことに気配りのできない経営者に本当に
素晴らしい企業など築くことはできない

まあそうだろうなと思った。

衝動買いの科学

これはなかなか面白かった。

わざわざ紙幣を崩してまで買わない商品でもつり銭なら買ってくれる。

こういうコンセプト。いつもそういうわけではないけど、そういうときはある。

4.29ドルのセットメニューを注文したときに5ドル支払ったときのおつり71セント
に見合った商品を選び、値引きして提示。例えばフライドポテトが1ドルならば
71セントに割引して5ドルちょうどになるよう勧める。

値引きしすぎると利益を圧迫するけど、こういう適切なタイミングで売り上げを
上昇させるような値引きというのは非常に効果的じゃないかと思う。

デル:「勝利する組織」の創造

マイケル・デル デル 会長
ケビン・ロリンズ デル 社長兼CEO
これはデルの会長と社長のインタビューだが、読んでいて非常に印象的だったのは
どちらが答えているのかよくわからないくらい二人の考え方が一致していたこと。
なんというか影武者みたい。二人二役という感じでなかなか興味深い。
デルは成功の条件を

R&Dに投資することから標準技術を最低コストで製造することへ

シフトさせたそうだ。R&Dに投資した方が面白そうだけどデルの方式のほうが
確実であるような気はする。個人的には面白い会社の方が好きだな。

R&D費1ドルから6ドルのリターン。サムスンは3から4ドル
MSは77億ドルに対して180億ドルのリターン
ソニーは10億ドルに対して2億ドルのリターン

他社と比較して自社がいかにR&D投資のコストパフォーマンスが良いが強調してた。
ソニー全然駄目だな。ちゃんと元は取ろうよって思う。


4年以上前にデルの革命という本を読んでいるので
この会社の在庫に対する考え方は知っていた。

デルの革命 - 「ダイレクト」戦略で産業を変える
マイケル デル
日本経済新聞社 (2000/11/07)
おすすめ度の平均: 4.9
4 顧客への密着と変革の文化
5 そりゃ成功するわ!
5 ITビジネスモデルを平易に解説

購入した瞬間から製品の価値が失われ始める
DSI(在庫日数)を正確に記録

このあたりの意識を徹底しているようだ。

  • 弁解無用の風土
  • 規律と一貫性 
  • デルモデルは有効

まず前提としてデルモデルがあるみたい。失敗したときは

ゼネラルマネジャーがモデルの使い方を間違った
ゼネラルマネジャーが適任者ではない

このどちらかが原因とみなされるようだ。

「直しなさい。何が悪いのか見つけて直すのです。
さもなければ誰かに助けを求めなさい」

助けを求めなさいという表現を書いてみると新鮮な感じがした。
 

頭脳明晰、タフネス、チームプレー、P/Lを管理

このあたりが必要らしい。事実を認めないのは最も恥ずべきだとか。
P/L責任を負う人が多いというのはlivedoorでもそうだったような。

デルでは行動とデータが特に重視される
部門に関わらずデータが満載。

これまでの流れのとおり事実を重視し、利益を重視しているので
データを重視するのは当然かもしれない。肝に銘じておこう。
あと影武者という表現を使ったのはこういうことを言ってたから

一人のCEOの倍の回数顧客や社員に会える

マイケル・デル氏は創業者で技術系。ケビン・ロリンズ氏はどこかの
コンサルティングファームから5,6年前に来たマネジメント系。
でも技術と経営で分離せず、どちらも二人で対応している。
そして何か問題点があったときや経営上の重要な決定を下すときは
二人で徹底的に話し合って決めるそうだ。プリンタ事業に進出するときとか。
これだけ密にコミュニケーションを取っていれば、二人いるから決定が遅くなるとか
そういう事態にはならない気がした。そして負荷を分散できるし、相談相手がいる
わけだから非常にバランスが取れていて良いと思った。


最後に会社のカルチャーみたいなのに触れていて興味深い。

リスクを嫌う
21年で買収せず500億ドルの売り上げ

買収せずにというところがポイントみたい。
これまでは「株価の文化」だったそうだ。高給を払ってくれるなら残るとか。
愛社精神のかけらもなく、これでは困るということで社員のニーズを調査し
社員の能力開発をすることになったそうだ。それから以前は

「誰かにほめられなければやっていけないような人間は
デルには必要ない。デルで働く資格のない人間だ」

というようなことを言っていたらしい。なかなか強烈な会社だ。
でも今は反省して「人間関係をもっと大切にすべき」と言っている。

気持ちよく働けることだけが存在理由ではない。
我々は楽しみながら勝利したいのです

でも全然変わってないよな。こういう考え方は好きだからいいけど。