この本もかなり面白かった。本気な科学者たちの話。
本書では、モルモット科学者たちがどのような実験を行ない、それが社会にどんな影響を与えてきたかを紹介していく。
自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝 | |
レスリー・デンディ メル・ボーリング 梶山 あゆみ おすすめ平均 自分の身体で…できる? いつの時代でもイマジネーションこそが人間の存在証明 死を賭してまで真実を知りたいという彼らの実験が、今の我々の今の社会に大いに役立ったことは認めたい。 モルモット科学者偉人伝 実験自体はトンデモないかもしれないが、トンデモ本ではありません。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
どれもこれもすごいのばかりだけど、全部紹介するわけにもいかないんで
一つだけピックアップしよう。第7章「危険な空気を吸い続けた親子」
もうタイトルからしてすごいな。挿絵もリアル。
すぐにジャックも実験に一役買うようになる。三歳で自分の血を提供した。四歳になると、地下鉄や炭坑の「悪い空気」を吸い始めた。
何かが間違ってると思う。
ジョンは動物よりも人を使って実験をするのを好む。動物は我が身に何が起きるかがわからないため、実験を怖がってしまうと考えていたからだ。人間であれば、答えを知りたいという好奇心がうち勝って、恐れや痛みに目をつぶることができる。ジョン自身、他の人ならうめき声をあげるような苦痛でもものともしない。ホールデーン家はスコットランドで数百年続く古い家系であり、代々、困難に負けない強さを重んじていた。ホールデーン家の家訓は「耐えよ」である。
言いたいことはわかるけど、やっぱりおかしい。
ジャックは自分の体を「使うべきものであり、必要あらば使いきるべきもの」だととらえていた。
「ある種の感覚情報については、入ってくるのを無視できるようになったんだ」
ここまでいってしまうのか。敏感すぎるのもよくないけど、鈍感も命に関わる。
ジョンとジャックのホールデーン親子は50年以上にわたって自分を実験台にし続け、「同胞のみんな」をおおいに助けた。炭坑労働者、潜水夫、パイロット、工場労働者、地下で働く作業員、水中でトンネル建設に携わる作業員、病気の赤ん坊、地下鉄に乗る普通の市民。いずれも、ホールデン親子が問題に取り組んだあとは楽に息ができるようになった。
初めてやることに対して、安全かどうか誰にもわからない。
自ら実験台となり、豊富な科学的知識からどうすれば安全に
なるのかを一つ一つ研究したこの親子のお陰で今がある。
好奇心というのはもちろんあるけれども、
他人のためにできることをやっている人々。
僕はこんな危ないことはしませんが、
誰かのためになることができたらいいなと思ってます。