Amazonの1クリック特許が再審査の結果、無効に

この記事は誤解を招くんじゃないかと思ったんで、とりあげてみる。

 米Amazonが所有していた「1クリック」特許を、米特許商標庁(USPTO)が再調査の結果、10月9日に拒絶したことが明らかになった。ニュージーランド出身の俳優、ピーター・カルバリー氏が自身のブログに記している。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/19/news009.html

一つ疑問に思ったのは、USPTOって再調査するの?ってこと。再審査ならわかるんだけど。
調査と審査って全然違うでしょ。いろいろ動き回って調べてくるのと、
提出されたのを見直すのは全然違うような気がする。
「米特許商標庁(USPTO)が再調査の結果」これも意味わかんないな。
「米特許商標庁(USPTO)の再調査の結果」か「米特許商標庁(USPTO)が再調査した結果」ならわかる。
でも後ろとのつながりを考えると、「拒絶した」に主語が必要だから、
「米特許商標庁(USPTO)が再調査した結果」ということになるかな。
「拒絶」ってのも意味不明。特許出願を「拒絶」するならわかるけど、
一度特許になったものだから「無効」じゃないかと思う。
タイトルは再審査の結果無効ってなってるな。なんで統一しないんだろう。

 カルバリー氏は2006年2月16日、Amazonが自社独自のビジネスモデルとして1998年に特許を取得した、1度クリックするだけで購入したい商品をショッピングカートに入れるシステムに対する特許、すなわち「1クリック」特許(米特許番号5,960,411)について見直しを行うようUSPTOに申請。カルバリー氏は特許クレームの全26条のうち、11、14、15、16、17、21、22条の見直しを求めたが、同局は11条から26条、さらに1条から5条まで、つまり26条中21条を拒絶した。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/19/news009.html

「特許クレームの全26条」が明らかに変。法律じゃないから「条」はないでしょ。
普段使うときは、クレーム4つとか10個とかそんな感じかな。

カルバリー氏は26の特許クレームのうち、クレーム11、14、15、16、17、21、及び22の見直しを求めたが、

という感じになるかな。あとクレームよりも、請求項って言った方が分りやすい気がする。
特許として守りたい範囲を請求するための「請求項」。


26条中21条って書いてるけど、意味わかんないで訳してないか?
請求項が一つ一つ独立してるようなニュアンスだけど、そんなことはない。
メインクレームとサブクレーム(独立請求項と従属請求項)がある。
特許請求項を見てみたが、

  • クレーム1は、方法。
  • クレーム2〜5は、クレーム1の方法。
  • クレーム6は、クライアントシステム。
  • クレーム7、8は、クレーム6のクライアントシステム。
  • クレーム9は、サーバシステム。
  • クレーム10は、クレーム9のサーバシステム。
  • クレーム11は、クライアントシステムを使用してアイテムを注文する方法。
  • クレーム12〜26は、クレーム11の方法。

独立してるのは1と6と9と11。あとは従属。
見直しを求めたのは11以降のいくつかだけど、
クレーム11が潰されたら、それに従属するやつが全滅しても別におかしくない。
クレーム1が消えたら、2〜5も一緒に消えたっておかしくない。
要するに方法クレーム全滅で、装置のクレームは残ったというわけ。
だから請求項9みたいに

9. A server system for generating an order comprising:
a shopping cart ordering component; and
a single-action ordering component including:

ショッピングカート注文コンポーネントと、
カクカクシカジカを含む1アクション注文コンポーネント
を有する注文を生成するサーバシステム。
という1クリック注文を可能にするサーバみたいなのも残ってる。
アメリカの特許実務はよくわかんないけど、そういうサーバを使って
事業を行うと、アマゾンの特許権を侵害してますよ、ライセンス料払って
ってことじゃないのかなあと思う。