邪魅の雫

京極夏彦の本を翻訳を介せずに読めることは、日本語ネイティブでよかったことの一つだ。鈍器のような厚さと重さのあの文庫を読むたびにそう感じる。
文庫版　邪魅の雫 (講談社文庫) (文庫)

今回のは、榎木津大活躍ではないし、序盤にありがちな京極堂の長い蘊蓄も控えめなのでやや肩すかしを食らうが、全体としてうまくまとまっている印象を受けた。あとタイトルがこれまでで最も中身にフィットしてた。読んでいて、なるほどだから邪魅の雫なのか、という気づきがあり、そこから展開が加速していて心地良い。

借りた本でもう返したので手元にないし、小説を長々と説明してもしょうがないので、この辺にしておこう。休日まるごと潰すか、平日の夜の睡眠時間を削るか、と言われる京極作品だが、今回は両方だった。体によろしくない読書である。でも面白くて続きが気になって読んでしまうんだからしょうがない。