不確定であることの価値
最近kindleでFrom Ideas to Assetsという知的財産関連の本を読んでいるのだが、その中でpatentはcall optionみたいなものだという表現がでてきて気になった。特許を財産として売買して流通させることを考えたとき、金融で使われるcall optionに似ているということである。
コール・オプションは「ある日時に、ある価格で株を買う権利」を意味する。
コール・オプションの仕組み
特許の価値が株と同様に時期によって大きく変動するので、他の所から特許を買うというのは、将来大化けするか紙くずになるかよくわからないものを手に入れる権利に相当する。コールオプションの場合、この「ある日時」から遠ければ遠いほど価値は不確定になり、「ある日時」に近づくにつれてある程度価値は決まってくるのだが、特許の場合も、発明した当初はそれがどれほど価値があるか不確定であり、何年か経つと徐々に価値が定まってくる。「ある日時」が来るとオプショントレード(権利の取引)はできなくなる。つまり価値が不確定な場合にのみ賭けの対象になるわけだ。
さっき人参とジャガイモを茹でていて、こういう価値が定まらないのは、量子状態に似ていると思った。箸を刺してみるまで茹で上がったかどうかわからない(そんなことしないけど)。0か1のbitではなく、0と1のどちらとも言えないqubitだから、まとめていろんな処理ができて、素因数分解を早くできたりするわけである。量子状態が維持されるから、新たな価値が生まれてくる。「ある日時」が来ていないからオプショントレードができる。不確定だから価値がある。(確定されたらされたで別の価値があるんだけど。)
とすると、人が生きていくことにもつなげられそう。これから先が見えなくて、何が起きるのかさっぱりわからないけれど、だからこそ新たな価値があるのではないか。先が見えていたらつまらないではないか。なんてことを考えた。会社や国を選ぶときも、その場所の期待値で選ぶこともできるけど、振れ幅の方が重要かもしれない(ハイリスクハイリターンかローリスクローリターンか)。先のことはわからなくても、起こり得る最悪のケースと最高のケースを考えてみると面白いかもしれない。そろそろ掛け金を上げる頃かな、なんて思う今日この頃。
From Ideas to Assets: Investing Wisely in Intellectual Property (Intellectual Property-General, Law, Accounting & Finance, Management, Licensing, Special Topics) (ハードカバー)