地震、津波、その後のこと

地震が起きたときtwitterのタイムラインが「ゆれたー」で埋まっていたので、ほぼリアルタイムでその事実を知った。そのときに真っ先に思い出したのは、シリコンバレーツアーで現地に住む人に言われたことである。海外に住んで最も嫌なことは何か聞いたら、親の死に目に会えないことという答えが返ってきた。まあ距離的に無理だろうな。今回自分の家族は帰宅難民になって、それから買い占めの影響を受けたくらいで幸い大したことはないそうだが、とても距離が遠くに感じられた一瞬だった。
その後も毎日、日本気象協会の地震情報を見ていたら、宮城、茨城、栄村、富士山を震源とする震度6強の地震が頻発して、869年の貞観地震を思わせる展開になり、どうなってしまうんだあの国はという気分になった。地震情報を見ているとトカラ列島を震源とする地震もちらほら起きたりしていて、地震列島であることを再認識させられている。
それから原発、放射性物質、電力不足か。原発の仕組みは泊発電所で学んだかな。大学の授業でもやった。放射性物質、放射線については、大学4年のときにX線取扱技師の講習を受けたときにやった。電力は、電気系なので当然やっている。東電には研究室の後輩が1人行っていると思う。関電には研究室の先輩が1人、北電には高校の同級生が行ってて、スキューバダイビングの資格を取ったのは福井の原発の目の前だ。あの辺りは原発からの放熱で水温が上がって熱帯の魚が生息しているとインストラクターが言ってた。今回驚いたのは、自分が当たり前だと思っていたことが全然全然全然知られていないということだ。それならパニックが起きても仕方ない。これを機に少しは知られるのであれば不幸中の幸いかもしれない。概して無知は不安な気持ちを起こさせる。目を閉じたまま外を出歩けば、不安なのは当然だ。とりあえず自分の場合、大学の授業は役に立っていると言える。
でも同時に自分の無力さも痛感させられた。日本にいても無力だったけど海外にいたらさらに無力だ。


海外で知的財産を学ぶ自分が今最も貢献できることはなんだろうかと考えたとき、知的財産の分野でどさくさ紛れに日本が不利益を被らないようにすることだと思った。例えばTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)。この条約は農業のことにフォーカスされることが多いけれども、アメリカ(特にハリウッド)からの圧力で多くの知的財産に関する条項も含まれている。リークされた米国政府のドラフト(http://keionline.org/node/1091)によると、著作権保護期間の延長、並行輸入の禁止、刑事罰の強化、ISP(インターネットサービスプロバイダ)に責任を負わせる、ISPに検閲をさせるなどなど、一方的で悪名高きアメリカの著作権法をそのまま持ってきた以上の内容となっている。いろいろな国の法律を学んでいると日本のものは案外よくできていると思うことが多いが、それがこの条約で亡き者にされてしまうかもしれない。ブルネイやシンガポールなどの小国がまともにアメリカに太刀打ちできるはずもないので、大国の日本が食い止めないとアメリカの圧力はエスカレートする気がした。

社会保障と税の一体改革環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉についても6月としていた結論取りまとめ時期を先送りする考えを示した。

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幸いこの件は先送りということなので一安心だが、油断できない状況であることには変わりがない。領土問題にしても、ベトナムやチベットがまともに中国とやりあうのは難しいので、日本がそこらへんを食い止めないとエスカレートしてしまうだろうな。外に出ることで母国の影響力の大きさを知ったが、今回津波の映像を見て何とも言えない気持ちになって、自分はけっこうあの国が好きなのだと気づかされている。今回いろいろな人の発言や行動にがっかりさせられたのだが、この文章を見てはっとさせられた。

平時に優秀な人が非常時に使い物にならないというのは、その人の向き不向きにすぎませんから。

東日本大震災の気分的総括について: やまもといちろうBLOG(ブログ)

このくらい寛容な気持ちでありたいものである。どうでもいいというか本当にどうでもいいのだが、地震関係で一番気に入っているtweetがこれ。


デーヴ・スペクターがほんとにつまらなくて、とても心がなごむ。