常識が変わってしまった世界で

在宅勤務を始めて1ヶ月。322日からはずっとロックダウンなのでコンドミニアムの敷地から全然出ていない。今日食材の買い出しに一ヶ月ぶりに敷地の外に出たが、人類が消失している所が多くてちょっとかっこ良かった。

既にいろんなところで話に出ているが、常識が変わったのを日々痛感する。ちょっと前の映像をみて人が密集している場面があると、これは感染拡大するなあと自然に感じてしまう。誰かとエレベーターで乗り合わせるのはちょっと嫌だなあと感じてしまう。もう現金を触りたくないし、この1ヶ月で1度も現金を触っていないので、無現金原理主義と呼んでもいいだろう。そういえば今日は一ヶ月ぶりに靴下を履いた。それからもう通勤とか無理な気がする。これから何かが変わるのではなく、もう既に価値観が変わってしまった。

ここ数年でライフスタイルにおいていろいろな変化があったが、今回の感染症に伴うロックダウンにより、加速するもの、揺り戻しがあるもの、これまでになかった変化みたいな切り口で分類できそうな気がする。

変化が加速するもの

1. 集団主義から個人主義

人が群れているだけで何か価値を出しているような印象を与えるメソッドがかつて存在したのかもしれないが、一人一人がどんなアウトプットを出しているか明確になってしまうと、個人へのフォーカスが高まりそう。リモートワークなどアウトプットが全てなので、個人の役割の明確化が加速するように思う。

2. bitで済むものはbit

bitベースで物事を進められる会社と、atomがないと物事を進められない会社とでは、元々スピード感が全然違ったが、ますます差が開くとしか考えられない。手続きの形式を重んじるくらいなら、もっと仕事のクオリティを上げてくれよということになるので、公正な競争が存在する世界では自然と淘汰されていくように思う。

揺り戻し

3. シェアから所有へ

何でもインターネットに繋がって、オンラインで決済も済んでしまうので、モバイルバッテリだの自転車だの傘だの、色んなものがシェアされる傾向があったが、感染症対策という視点で考えるとここに揺り戻しがありそう。誰が触ったのかよくわかんないものに対する忌避感とでも言えばいいんだろうか。潔癖症という言葉が当たり前になりすぎて消失する世界では、atomの共有から専有という流れがあると思えてならない。UberとかDidiとかも消毒とか考えるとどうなってしまうんだろうという気持ちになる。

4. 移動の抑制

息を吸うように航空券を買うクラスタがあり、LCCの値段はどんどん下がって、クリエイティブと移動距離は比例するなんて言葉もあったりするが、ここにも大きな揺り戻しがあると思えてならない。国境を超えるたびに14日間の自宅待機を命じられると、あらゆる移動が一ヶ月コースになってしまう。もう自由に旅行できる時代は自分の生きている間戻ってこない可能性すらある気がしてならない。

新たな動き

5. 鎖国による現地化やパーソナルファブリケーション

人が国境を超えなくなるのはわかるとして、物はどうだろうと考える。届かないことはないにしても、もっと時間もコストもかかるのではないか。あらゆるものが中国で作られて世界中に出荷される流れから、各国で現地生産する流れになってもおかしくない。究極的に言えば、各家庭の3Dプリンタで簡易的なものを出力するなんてことも考えられる。

6. バーチャル空間の充実

VRMMORPGの時代はまだ来ないが、バーチャル空間において自分の家とか自分の居場所とかそういうものを求める傾向は強まるように思う。zoom会議でsnap camerae遊ぶとか、VRでのアバター選びそのものである。あつまれどうぶつの森が妙に流行っているのも、物理的に外出が制限されている分、バーチャルな世界でのびのびしたいという願望の現れかもしれない。

それにしてもいろいろなものが平安時代に回帰したみたいな話を聞くと、現代のテクノロジー平安時代に当てはめるみたいな想像の斜め上を行く世界観ができてくるので、現実ってのは面白いなと思ったりする。心身ともに健康であればきっとどこでも生きていけるだろうから、まあ状況を見ながらせいぜい楽しむだけである。

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