シャオミ中華ROM端末のGPS問題を解決する方法

今となっては昔のことになってしまったが、かつて移動体通信端末が取得する位置情報が重要な時代があった。ロックダウンで家から出ない今となっては、そもそも移動体通信自体に大して意味がなくなってしまった。本稿は、今年1月初めに買ったシャオミ中華ROM端末で、GPSによる位置情報がうまく取得できなくて正直けっこう困っていた問題に対し、先月無事に解決した解決策を記録するためのものである。

そもそも中華ROM端末とは何か。シャオミのスマートフォンでも中国国内で中国向けに売られている中華ROMと、香港や他の国で売られているグローバルROMの二種類の端末がある。私が買った1億画素のカメラセンサーで知られるシャオミ端末は、1月に深圳のシャオミショップで買ったのでCC9pro 尊享版という中華ROM版だが、グローバル版ではMi Note 10proという名前になっている。ハードウェアとしては、対応周波数帯が多少違うくらいでほぼ同一である。ソフトウェアはけっこう違う。

google playが入っていないので、谷歌安装器なる怪しいアプリを入れてgoogleアプリを使えるようにしないといけない。それでもわざわざ中華ROM版を選んだのは、中華ROM版の方が2万円くらい安いというのもあるが、OSファームウェアのアップデートの対応が早いことや、Mi Roamingという圧倒的に強力なeSIMのサービスを使えるからである。root権限を取得したり、ROMを焼き直したりするならめんどいからやだなあと思っていたが、そんなことをしなくても普通に使えるとシャオミショップの店員が教えてくれたので買うことにした。

中国で使っているうちは何も問題なかったが、インドに戻ってきてからどうにも位置情報の反応が悪いことに気がついた。なにやら現在位置がたまにしか取得できないのである。権限を付与してないのかなと思って設定を確認しても、ちゃんとGet location infoの項目ではget precise location (GPS and network-based)となっていて見たところ問題なし。google mapでナビモードにすると位置情報がきちんとアップデートされる。Uberは多少雑な位置情報でもなんとか使えたが、Olaは位置情報が不正確ですと出てそれ以上進めなかった。ムンバイに行ったときにアプリで電車のチケットを買おうと思ったのだが、位置情報が不正確と出て使えず悔しい思いをした。

そもそもGPS and network basedとは何か。GPSは大学の授業でやっているので、基本的な原理ならわかる。複数の衛星から原子時計の極めて正確な時刻情報を取得し、その差分から現在の位置情報を割り出すのである。GPSは受信機であり、衛星に電波を飛ばすものではないので、GPSを使っているからといって自分の現在位置が伝わるものではないという話があるのはこのためである。

しかしながら、GPSのみで位置を特定すると30秒近く時間がかかるという欠点があるので、素早く位置情報を特定するためにnetwork-basedの情報も使用したA-GPS(補助GPS)を使用するのが主流となっている。ちなみにA-GPSには2種類の方式、すなわちMSA(Mobile station assisted)MSB(Mobile station based)があり、MSAでは端末が衛星から取得した情報を補助GPSサーバに送り、補助GPSサーバで位置情報を計算して、端末に送り返す。MSBでは、補助GPSサーバは衛星の軌道情報などを予め端末に送るのみで、位置情報の計算は端末で行っている。

いろいろ検索をすすめるうちに、シャオミの中華ROMGPSが怪しいという情報を多々見かけるようになった。そして、ついに対処法を紹介したページに辿り着いた。

https://piunikaweb.com/2019/02/08/xiaomi-uses-state-owned-china-telecom-a-gps-provider-but-why/

グローバル版ではgoogleA-GPSサーバであるsupl.google.com を使用しているが、中華ROMではチャイナテレコムのA-GPSサーバである221.176.0.55を使っているようである。しかもシャオミのOSであるMIUIではA-GPSサーバを選択する項目がない。しかし、先人の知恵の助けを借りて、quick shortcut makerなるアプリを用いてA-GPSサーバを選択する画面にたどりいついた。

https://c.mi.com/thread-2129254-1-0.html

このquick shortcut makerはなんでもっと早く入れてなかったんだろうと感じるくらい素晴らしいアプリである。root権限を取らなくてもこんなに自由に操作できたとは知らなかった。

そんなわけでチャイナテレコムではなくgoogle様に全ての個人情報を捧げて無事正確な位置情報を取得できるようになった。個人情報を中国に渡そうがアメリカに渡そうがどうせ大差ないし、利便性にまさるものはないのスタンスで生きている。

あいにく旅行に行く予定は全然ないのでmi roamingを使う機会がないが、OSのアップデートで言えば中華ROM版に対するAndroid10へのアップデートが今月中に可能になるらしい。ソフトウェアが変わると別物になるので、OS更新がとても楽しみだ。

常識が変わってしまった世界で

在宅勤務を始めて1ヶ月。322日からはずっとロックダウンなのでコンドミニアムの敷地から全然出ていない。今日食材の買い出しに一ヶ月ぶりに敷地の外に出たが、人類が消失している所が多くてちょっとかっこ良かった。

既にいろんなところで話に出ているが、常識が変わったのを日々痛感する。ちょっと前の映像をみて人が密集している場面があると、これは感染拡大するなあと自然に感じてしまう。誰かとエレベーターで乗り合わせるのはちょっと嫌だなあと感じてしまう。もう現金を触りたくないし、この1ヶ月で1度も現金を触っていないので、無現金原理主義と呼んでもいいだろう。そういえば今日は一ヶ月ぶりに靴下を履いた。それからもう通勤とか無理な気がする。これから何かが変わるのではなく、もう既に価値観が変わってしまった。

ここ数年でライフスタイルにおいていろいろな変化があったが、今回の感染症に伴うロックダウンにより、加速するもの、揺り戻しがあるもの、これまでになかった変化みたいな切り口で分類できそうな気がする。

変化が加速するもの

1. 集団主義から個人主義

人が群れているだけで何か価値を出しているような印象を与えるメソッドがかつて存在したのかもしれないが、一人一人がどんなアウトプットを出しているか明確になってしまうと、個人へのフォーカスが高まりそう。リモートワークなどアウトプットが全てなので、個人の役割の明確化が加速するように思う。

2. bitで済むものはbit

bitベースで物事を進められる会社と、atomがないと物事を進められない会社とでは、元々スピード感が全然違ったが、ますます差が開くとしか考えられない。手続きの形式を重んじるくらいなら、もっと仕事のクオリティを上げてくれよということになるので、公正な競争が存在する世界では自然と淘汰されていくように思う。

揺り戻し

3. シェアから所有へ

何でもインターネットに繋がって、オンラインで決済も済んでしまうので、モバイルバッテリだの自転車だの傘だの、色んなものがシェアされる傾向があったが、感染症対策という視点で考えるとここに揺り戻しがありそう。誰が触ったのかよくわかんないものに対する忌避感とでも言えばいいんだろうか。潔癖症という言葉が当たり前になりすぎて消失する世界では、atomの共有から専有という流れがあると思えてならない。UberとかDidiとかも消毒とか考えるとどうなってしまうんだろうという気持ちになる。

4. 移動の抑制

息を吸うように航空券を買うクラスタがあり、LCCの値段はどんどん下がって、クリエイティブと移動距離は比例するなんて言葉もあったりするが、ここにも大きな揺り戻しがあると思えてならない。国境を超えるたびに14日間の自宅待機を命じられると、あらゆる移動が一ヶ月コースになってしまう。もう自由に旅行できる時代は自分の生きている間戻ってこない可能性すらある気がしてならない。

新たな動き

5. 鎖国による現地化やパーソナルファブリケーション

人が国境を超えなくなるのはわかるとして、物はどうだろうと考える。届かないことはないにしても、もっと時間もコストもかかるのではないか。あらゆるものが中国で作られて世界中に出荷される流れから、各国で現地生産する流れになってもおかしくない。究極的に言えば、各家庭の3Dプリンタで簡易的なものを出力するなんてことも考えられる。

6. バーチャル空間の充実

VRMMORPGの時代はまだ来ないが、バーチャル空間において自分の家とか自分の居場所とかそういうものを求める傾向は強まるように思う。zoom会議でsnap camerae遊ぶとか、VRでのアバター選びそのものである。あつまれどうぶつの森が妙に流行っているのも、物理的に外出が制限されている分、バーチャルな世界でのびのびしたいという願望の現れかもしれない。

それにしてもいろいろなものが平安時代に回帰したみたいな話を聞くと、現代のテクノロジー平安時代に当てはめるみたいな想像の斜め上を行く世界観ができてくるので、現実ってのは面白いなと思ったりする。心身ともに健康であればきっとどこでも生きていけるだろうから、まあ状況を見ながらせいぜい楽しむだけである。

f:id:pho:20200418114914j:plain

 

安定したインターネットのために

インドでは、金融の中心地であるムンバイを除いてどの都市でも電力供給が安定せずよく停電する。たいていパワージェネレータに切り替わるので、照明や天井のファンなどであれば一時的に止まってもこれといって問題はない。デスクトップPCルーターとなると、一日に何度も強制再起動されたらたまったものではない。しかし、コンセントに直接取り付けるタイプの無停電電源装置UPS)は大掛かり過ぎて好ましくない。PCはノートPCにすればいいが、問題はルーターだ。ルーターの電源が落ちたときのWiFiのダウンタイムがけっこう長い。

という問題意識をずっと持っていて、在宅勤務を機に改めてUPSを探してみた。そこで、ルーターUPSなんてものがあると知った。amazonインドでいくつか見つかるが、このあたりのバンガロールのメーカーが作っている(組み立てている?)らしい。

https://cuzorlabs.com/

https://www.resonate.store/

ACアダプタとルータの間に接続し、電源供給が低下したらUPSのバッテリ駆動に切り替わる仕組みである。バッテリは20000mAhなので、モバイルバッテリが間に挟まっている感じである。そこそこバッテリが長持ちするような動作をしてくれるんじゃないかと勝手に期待しているがそこはよくわからない。

そんなわけで、停電をワクワクしながら待っているが、そういえば導入してからまだ一度も停電していない。まあそんなものである。

ちなみに安定したインターネットといえば、インド政府はよくインターネットを止める。そして、どの地域でいつインターネットが止められたかトラッキングしているサイトもある。

https://internetshutdowns.in/

だいたい法案に反発するデモとかが起きて都合が悪くなると、混乱を抑えるためとかいいながらインターネットを止めるのである。個人的に誰であれニュートラルな存在であるインターネット自体を止めるやつは人類の敵だと思っている。

コロナ関係でインターネットを止め始めると良くない兆候なので、そういう状況になってしまったら脱出を検討する時期かもしれない。見たところまだ大丈夫そうではある。

デジタル新興国論とロックダウン

2月中旬にバングラデシュからインドに戻ってきて、なんか異様に忙しくてずっと仕事をしているうちに、インドが鎖国を始めて自分のビザが一時停止された(3月3日)。仕事が落ち着いたらインド国内旅行でもするか、と思っていたら、いろいろ飛行機が飛ばなくなり、そしてロックダウンにより自宅からも出られなくなった。

それで不便で不自由かといえば全然そんなことはなくて、堂々とひきこもれて最高じゃないかとすら感じている。何しろ物理的に会社に行かなくていいのが素晴らしい。行きたくても行けないのだからしょうがない。正直旅行行くくらいしか外出しないので、どうせ旅行できないならロックダウンだろうがなんだろうか個人的に大差ないのである。買い物だってレジで並ぶのが嫌だからいつもアプリで注文してる。

bitにできるものはbitで扱い、atomにする必要があるものだけをatomにするという、現代人としての最低限の嗜みさえできていれば、自分の場合は仕事も生活も大して困らないのである。さすがにまだbitで腹は膨れない(中枢神経系をbitでhackすれば空腹は紛らわせそうだが、栄養は摂取しないといけない)ので、そこはある程度atomが必要になるが、食材の流通インフラはわりと安定しているし、久々に自炊を再開してパスタとかシチューとか肉じゃがとか作ったりしている。このまま引きこもりが続くとお酒を作ったり、お菓子を作ったり、小麦粉から何かを錬成し始めてもおかしくない。やろうと思えば家の中でやることなどいくらでもあるのである。

デジタル積ん読などは、数えていないがたぶん数年分あるし、本を読むことに飽きたら、こうやって自分の考えていることを書き出せばいい。旅行の計画を立て始めればエンドレスにやることはある。そもそもリモートワークとして、これまで通り普通に仕事があるので、横山光輝三国志60冊にまだ手を出せる状態ではない。

コロナ以後、リモートワークだのデジタルトランスフォーメーションだのが進む、みたいなことを最初思っていたが、どちらかといえば選択肢の問題なのかなと感じるようになってきた。bitベースのライフスタイル、ワーキングスタイルだと、オフィスがあろうがなかろうが、家から出ても出なくても大きな違いはないので、取り得る選択肢が増えるとでも言えばいいんだろうか。atomベースのライフスタイル、ワーキングスタイルだと、ロックダウンみたいな選択肢は極力避けたいだろう。そのような選択肢を取らざるを得ない状況になると、非常にストレスが溜まったり仕事が全然進まなかったりするのは容易に想像できる。

そんなところで「デジタル新興国論とロックダウン」みたいなフレーズが思い浮かんだ。QRコード決済は、現金やカードの受け渡しもないし、店の端末でパスコードを入力する必要もないから感染リスクが下げられるとか、デリバリーが発達した世界では、外出の必要性が大幅に削減できるとか、レガシーが少なくデジタル化が進んだ新興国は、案外感染症対策やロックダウンという点で優位ではないかと感じるのである。失うものが少ないと何でもできるけど、失うものが多いとなかなか動きにくいみたいな状態かもしれない。会社からは日本に帰ってもインドにいてもどちらでもいいと言われていて、インドに残ることを選択しているのは、そういう理由からである。

まあ、不謹慎ながらこんなカオスな状況が面白くてしょうがないという気持ちも否定できない。わざわざ遠い国に一人旅にでなくても、非日常が自分の生活圏にやってきたのだ。私の旅はいつもこんな予測不能なことばかりだし、そのおかげで全然退屈しなくて済むのである。

最後に、2002年に読んだブログ記事を引用しておこう。

MylifeBitsプロジェクトの話を聞いたとき、真っ先に思い出したのは、こんなシーンだった。彼の家で(ちなみに彼の家の中はこの雑誌記事の写真で雰囲気がわかる)話をしていたとき、玄関に宅急便が届いた。開けてみたら、ソフトが入ったCDが一枚、厳重に包装されてした。どこかのソフトウェア会社がゴードンに見てもらいたいソフトを送ってきたようだったのだ。開封するとともに、みるみるうちに、温和なゴードンの顔が険しくなって、烈火のごとく怒り出した。「何でこんなバカなことが起こるんだ!!! 送りたいのはbitsなのに、こんなstupid atomを送りやがって、くそっ、バカヤロー、・・・」と叫ぶや否や、包装紙やらパッケージやら、そういう送られてきたもの全部を地面に叩きつけて、踏みつけて、バカだ、バカだ、といつまでもブツブツ言っていた。

https://japan.cnet.com/blog/umeda/2002/12/14/entry_post_31/

 

深圳と私

旅行好きには2つタイプがあると考えている。同じところに何度も行くリピーター型と常に新しいところに行く新規開拓型の2つである。私の行動を見ている人であれば私が基本的に後者の新規開拓型なのは明らかかと思うが、一つ例外があってそれは中国の新興都市・深圳である。ここだけは変化が激しいのでリピートしながら新規開拓ができる。いつも何かしらまだ見ぬ世界に出会うことができるのである。

初めて訪れた2015年はメイカーフェアに合わせて行って、その会場でたまたま知ったseeedとニコ技のツアーに参加した。このときに锦绣中华民俗村や大芬油絵村にも行った。電気街の現在歩行者天国になっている部分は地下鉄の工事中していて非常に動き回りにくかったのを覚えている。

次に行ったのは2017年4月でニコ技深圳観察会にみっちりと参加した。このときに見つけた白石洲のクラフトビアにはその後深圳に行くたびに通っているし、小米之家にはまったのもこのときである。3日滞在すれば4回通って毎回何か買っている程度のはまり具合だ。この他、動物園に行ったり、DJI旗艦店に行ったりしている。QRコードだのシェア自転車だの技術の社会実装的なものはこのときのインパクトが最も大きかったし、このときの衝撃がなければまだシンガポールで働いていたように思う。この年は9月に360度カメラ関連のツアーを企画して訪問し、11月はビアフェスとメイカーフェアと飲み会のために訪問したので計3回行っている。

2018年は2月にシンガポールの会社を辞めて、たくさん中国に行ったし、その際に深圳に寄ることが多かった。3月は諸事情で安室奈美恵コンサートチケットを現地で購入して見に行ったり、マニアックな電気街ツアーに参加したり、高徳地図見ながらなんか面白いとこないかなーとローカルバスで動き回ったりしていた。汕頭や張家界にも行ったが深圳を起点に動いていた。5月は汕頭ツアーをして、その際に深圳に寄った。OCT loft辺りをけっこう見た気がする。7月は上海、杭州紹興、香港に行ったときに深圳に行ってDJIのロボマスターズを観戦した。ElecrowやM5stackで新製品を見学した。電気街の地下街が出来上がっていてとてもきれいになっていたのが印象的。10月は深圳経由で東京に行っている。中旬にメイカーフェア深圳に行きライトショーも見て、ちょっと渋谷に行って、深圳に戻ってきて、架線なしトラムを見て、ハードロックホテルで買い物してた。この辺になってくるとあまり知り合いが主催する初心者向けツアーには参加せずにマニアックなエリアを発掘しつつ、夜に飲み会だけ参加するみたいな感じになっていた。12月は日本に行った帰りに立ち寄り、關山月美術館に行ったり、深圳当代艺术馆で改革開放40年の展示を見たり、ジェネシスオープンデイに参加した。というわけで2018年は5回行っているようだ。

そして今年はというと、シンガポールからインドに引っ越して、インド近辺を旅行したいという欲求もあり、メイカーフェアの時期に仕事で動けなかったのもあり、まだ深圳に行ってない。というわけで、12月20日~29日は中国(主に深圳)に滞在することにした。小米之家で買いたい物がたくさんあるし、白石洲エリアも再開発されたりする前に行っておきたい。無駄に派手になったらしい電気街の地下道を見たいし、坪山のビール工場も気になる。いろんな旗艦店にも行きたい。なんと言っても加速世界深圳の1年分の変化をまとめて体感できると思うととても楽しみだ。インドから見た深圳という視点で、自分がどう感じるかということにもとても興味がある。

関連記事

20156月のまとめ記事

http://pho.hatenablog.com/entry/2015/07/15/020756

20174月のまとめ記事

http://pho.hatenablog.com/entry/2017/06/17/233531

20179360ツアー

http://pho.hatenablog.com/entry/2017/10/26/005014

201711ビアフェス

http://pho.hatenablog.com/entry/2017/11/28/020956

201810月ライトショー

http://pho.hatenablog.com/entry/2018/11/15/010527

201810月架線なしトラム

http://pho.hatenablog.com/entry/2018/11/15/122537

ニコ技グルガオン観察会を終えて

2015年のMaker Faire深圳後の深圳ツアーに参加して以来、そこそこ参加しているニコ技深圳コミュニティ。スピンアウト企画として昨年はアディスアベバ観察会が行われ、そして今回は私の住むインドでグルガオン観察会が行われた。

10人くらいのグループを連れて案内をするのは3回目である。1回目は360度カメラのスペシャリストやシンガポール在住のマーケティング分野の人たちを集めた深圳360カメラメーカー訪問。2回目は玩具づくりをしている人たちを連れていった汕頭玩具工場訪問。中国でちょっと大きいバスを自力でチャーターするのはそこそこ面倒だが、慣れれば大したことはない。そしてこの3回目は、様々な国のMaker Faireでよく会っている人たちを案内するグルガオン見学である。実際はグルガオンよりもデリーばかり訪問する結果となった。

全部アレンジしておもてなしみたいなことをやるスタイルももちろんあるんだろうけど、訪問先のアポは来る方々や別の方々におまかせして、自分は現地の移動手段なり、現地の周辺情報などに注力するスタイルの方がいいんじゃないかと感じている。全体として満足度を最大限に上げるにはどうしたらいいかと考えたとき、餅は餅屋だろうという結論に至った。自分がずっとでしゃばっていても疲れるし、いろんな分野で自分よりうまくできる人はいくらでもいるので、お客さんをゼロにして全員参加型でいいんじゃないの、ということである。

そして今回、ニコ技グルガオン観察会はいろんなものがすごくうまく機能していて実に充実した内容になり、とても楽しかった。インドが英語の通じて国際ローミングもありUberも使えるぬるすぎる国なのか、参加者全員が旅慣れすぎていてアクシデントに対するリカバリ能力が高すぎるのか、そのへんはよくわからないがとてもスムーズだった。参加者全員が一般的な基準から考えると趣味に対してストイックで突き抜けており、いろんな訪問先で各分野のスペシャリストの解説を聞きながら見学できるというとても贅沢な観察会となった。

東京のインドカレーを食べ尽くした一瀬さんについていけば様々な州庁舎の美味しいカレーを解説付きで食べられるし、ロボコン経験者の鈴木さんに解説してもらいながらインドのロボコンを見学すると他国と比較しながらインドのSTEM教育の一端を垣間見ることができる。伊藤さんについていけば電子情報技術省(MeitY)でDigital Indiaの話が聞けるし、駐車場の管理端末を見て「チャイナのニオイがする」という名言を聞くこともできる。美谷さんについていけば起業家の視点からインドのスタートアップの特徴を非常に説得力ある形で聞くことができる。加藤さんからはムンバイのメイカーイベントに実際に出展した経験に基づく話が聞ける。井内さんと樺沢さんとについていけば航空機やバスに関するマニアックな話がこれでもかと聞けるだろう。高須さんと湯村さんといくインドサイエンスセンターツアーに参加したかったが、自分としてはグルガオン意識高い写真スポットツアーを主催する使命感が出てしまったので断念した。そんな感じでみんなが一次情報を持っていて、コンテンツに溢れていて全然退屈しなかったし、全然時間が足りなかった。

自分としては、この5ヶ月に見た話、聞いた話、考えたことなどなどを総動員しながら話して、少しでもこのインド滞在を楽しんでいってくれたら良いなと思った。情報を一つ提供すれば全員が一つずつ提供してくれて10倍になって返ってくるみたいな体験をしてしまうと、オープンなコミュニティで知見をスピーディーに交換しながら次なるステップに進んでいくのが楽しくて仕方がないし、情報を抱え込んでカビの生えた情報しか持ってない人を残念な人だなと感じてしまう。

インドに来てこの5ヶ月で何か物足りないと感じていたのはこの感覚だったのかと今回のグルガオン観察会を通じて気付かされた。やはり一次情報に触れずに又聞きの情報だけで話す人の言葉は軽い。メイカーと旅人は一次情報の宝庫だし、日々様々な情報に触れていて自分にはない視点を持っているので、同じものを見た後に食事しながら感想をざっくばらんに言い合えるのはとても楽しい。そんなとても密度の高い体験ができてよかった。

8月30日レー観光

前回の旅行では早朝の飛行機に乗り遅れるという痛恨のアクシデントに見舞われたので、今回はとりあえずさっさと寝る、mibandで目覚まし、起きて30分で荷造りという組み合わせでなんとか5時過ぎに家を出られた。

今回は航空券をMakeMyTripで予約していたのだが、わりとすんなり手続きできたので今後も使いたい。

山の中の標高3500メートルの空港に着陸する光景はとても新鮮なものだった。雲の上に顔を出している。そして山がとても近い。デリーからは1時間くらいなので案外便利だ。空港は軍も利用しているのか撮影禁止である。駅前にプリペイドタクシーがあり、ホテル名を伝えると連れて行ってくれた。

f:id:pho:20190830083552j:plain

ホテルに朝早く着いたが普通に部屋を用意してくれた。荷物を置いて散策。simカードはボーダフォンローミングも死んでいるので、昔ながらの旅行スタイルでいいかということにした。

f:id:pho:20190830091448j:plain

やたらとトレッキングに行きそうな白人が多い。そのおかげかとてもサービスのレベルが高く、カフェのクオリティも高い。コーヒーは美味しいし、チーズオムレツのチーズも美味しかった。

f:id:pho:20190830111754j:plain

山の上の宗教施設というとギリシャのメテオラを思い出し、高山病になりそうな高地の街並みというとペルーのクスコを思い出す。山を背景にした景色というとフランスのシャモニーモンブランに近い。カフェとかのんびりした雰囲気はラオスルアンパバーンを思い出す。仏教なところもラオスと重なるかも。自分にとってレーはそんな印象である。

f:id:pho:20190830115933j:plain
さて高山病にならないようにするにはどうしたらいいか。一応ダイアモックスを持ってきたが使わずに済むなら済ませたい。一番やってはいけないのは着いてすぐ寝ること。身体を高地に順応させるため適度な負荷をかけて少し心拍数上げ気味が良い。既に高地だけどもう少し高いところにゆっくり上がるとちょうど良さそう、ということで古い宮殿まで上がってみた。遥か遠くに見えたが15分くらいで上がれるのでそんなにハードル高くない。

f:id:pho:20190830114612j:plain

あとはモモを食べたり、

f:id:pho:20190830140325j:plain

パシュミナのストールを見たり、コーヒーを飲んだり、

f:id:pho:20190830151945j:plain

杏のケーキを食べたりして、今の所高山病は大丈夫そう。問題は明日行く5000mの峠。