研究テーマ

今日はひまなので今やっている研究テーマについて
できるだけわかりやすく書いてみようと思う。


「La$_{2-2x}$Sr$_{1+2x}$Mn$_2$O$_7$層状マンガン酸化物薄膜の
電気的磁気的特性に関する研究」というテーマである。
x=0.3なのでLa_1.4Sr_1.6Mn_2O_7(_は下付き文字)を扱うつもり。
要するにランタン、ストロンチウム、マンガン、酸素が混ざった
物質の抵抗などを温度を変えたり磁場を変えたりして測定して
文献のデータと比較して違いの理由などを考える研究。


この物質の特徴は磁場を変えると抵抗が低下するというもの。
(磁場の変え方としてはそばで電流を流すという方法がある。
右ネジの法則とか電磁誘導とかまあそのあたりを利用して変える。
単純に磁石を近付けてもほんの少しは変わるはず。)
抵抗が下がって何がうれしいかというと、
磁場をかけたりかけなかったりすることで違いができるから
0と1のデータの書き込み、書き換えができてPCのメモリとして
使うことができる。しかも電源をつけておかなくても
データが保存されるから消費電力が小さい。高速動作する。
そのあたりはMRAMで調べれば何かしらでてくると思う。
なぜ磁場を変えると抵抗が変わるかというと量子力学でいう
スピンの向きがバラバラだったのが磁場を変えるとそろって
抵抗が小さくなるからということ。


で、そこまでわかっていて何をわざわざやるかというと
テーマにもあるように「薄膜」についての研究をする。
厚さは大体2500Å(オングストローム)*1
これまでパルスレーザ発振とかいう方法で作った薄膜の
データは報告されているけどスパッタリングという方法で
作った薄膜のデータは報告されていないからそのスパッタリング
で作った薄膜に関していろいろ測定する予定。
なぜスパッタリングでできたら何がうれしいかというと
パルスレーザ発振よりも大量生産に向いているから。


具体的に何をしているかというとドクターの人が
スパッタリングで作った試料をXRD*2
きれいに成長した薄膜なのかどうか調べる。
きれいに成長していれば炉でアニール*3をして
酸素を注入する。でまたXRDでちゃんと酸素が入ったかみる。
それから銀線をつけて抵抗の温度依存性を測定する。
わかりやすくいえば、米粒一つにつまようじで4か所接着剤を
つけて、その4か所にピンセットで髪の毛を4本つける感じ。
接着剤や髪の毛のような銀線は導電性なので
接触すると短絡して抵抗が0になってはかれない。
最初は「こんなのできるかよ」と思ったけど人間慣れるものだ。
いつのまにか手先が器用選手権に紛れ込んでしまったような
気がしたが慣れればできないこともない。。


ある程度まともな抵抗の温度依存性が測定できたら磁場をかける
現在の状況は3回くらい良いXRDが取れたのだが
再現性がなく何かマグレっぽくてけっこうピンチな感じ。
なぜ良かったのかわからないのがマグレのマグレたる結縁。
抵抗の温度依存性も年末に一回だけそれっぽいのがとれたが
今のところその一個だけ。あと一ヵ月間に合うだろうか。

*1:百億分の一メートル

*2:X線回折

*3:熱処理