貧困のない世界を創る

先日、ハヤカワ・ノンフィクションのブログで

2006年度ノーベル平和賞受賞者で『貧困のない世界を創る』の著者、バングラデシュ・グラミン銀行総裁、ムハマド・ユヌス氏が来日します!

という情報を入手したので、ちょっと見に行ってきた。
前半はそれほど勢いを感じなかったけど、後半から終盤にかけて
ヒートアップしてきてすごかった。通訳の人が困るくらい早口になってたし。
一番後ろの席だったけど、どこから湧き上がってくるんだろうと思うほど
凄まじいエネルギーを感じた。これはちょっと久々な気がする。
うまく説明できないけど、重みのある言葉とか、圧倒的な勢いとか、
行動に裏付けられた説得力とか、リアルタイムで体感できて良かった。

  • One little opportunity changed her life.

今後、このようなチャンスを生かして活躍する人が増えるんだろうな。
やはりシステムとしてきっちり機能しているところが素晴らしい。

  • 複利ではなく単利。

日本のサラ金以上に利子を取っているけれども、単利だし、
用途によってはそんなに利子を取らない。
政府からお金をもらわないためにはある程度の利子は必要。

  • バングラデシュのモデルをニューヨークでも実践中。

これには驚いた。江戸時代の五人組みたいなシステムだから、
田舎じゃないと無理だと思ってたけど、ニューヨークでやってたとは。

  • I should never seek job, give job.

シンプルに言葉を並べていてすごいと思った。
まあいずれにせよ、どっかからお金をもらってどっかにお金を使うので
会社で働くか、社会で働くかの違いかとも思うが。

これまでのビジネス(conventional business)の目的は利益(profit)の最大化。社会ビジネス(social business)の目的は幸福(happiness)の最大化。

404 Blog Not Found:ムハマド・ユヌス語録

これはなかなか印象的だった。成果の示し方が全然違う。
social businessでいくら儲かったかなんて話をしても意味がない。
赤字にならずsustainableであれば十分であって、それより重要なのは
そのsocial businessがどのくらいの人を幸せにしたかだから。
dankogai氏が講演直後にライブラリーカフェで書いていたレポートは、
良くまとまっていて素晴らしい(この人も存在感あった。)

# Making money to make money doesn't make sense. Making money to make the world better does make sense.
# [訳:金儲けのために金儲けするのは理屈にあわない。世界をよくするために金儲けするのならあう]

404 Blog Not Found:ムハマド・ユヌス語録

これを聞いていて、自分がわくわくするもの、しないものについて考えた。
社会のために役立つとか、誰かを手助けするとか、何かしてあげるとか
そーゆーのは、真面目すぎて好きじゃないし、勝手にやればいいと今は感じる。
でも過去何十年、何百年誰にも達成できなかった「貧困の撲滅」とか、
マラリア、栄養失調を過去のものにするとか、廃棄物処理問題の解決とか、
そんな感じの解決困難な難題への取り組みだとけっこうワクワクしてくる。
問題が難しいからやりがいがある、という考え方もあるのかもしれない。
この数学の問題、難しいけど面白い、みたいな感じ。全然昔と変わってないな。


世の中にはきっといろいろ問題が転がっているわけだけど、これら全部に取り組む
理由も必要もない。自分が費やすことのできるリソースは限られているので、
関心があることで、解決できたらなんかうれしいなと思える問題と関わって
日々取り組んでいくと、いろいろと楽しくなりそうだと思った。
まあ情報収集ばかりしているとそれだけで人生が終わってしまうので、
動きながら考えればいいと思う。そんな感じで楽しめたらいいと思う。